【欧州CL】アーセナルは9番不在が敗因か?“際の勝負”をパリSGが制したのが妥当/記者の目
<UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL):パリSG2-1アーセナル>◇7日(日本時間8日)◇準決勝第2戦◇パリ
アーセナル(イングランド)の初優勝はまた先送りとなった。準々決勝で前回王者のレアル・マドリード(スペイン)に完勝するなど、欧州制覇の機運は高まっていた。それだけにパリ・サンジェルマン(フランス)にホーム、アウェーと2試合とも敗れた結果は予想外なものに映った。
BBCなど地元イギリスメディアでは、アーセナルのストライカー不在を指摘する論調が目立っている。
偽9番として1トップにスペイン代表MFミケル・メリーノが配置し、両ウイングと2枚のインサイドハーフを絡めたローテーションで崩すスタイルでボックス付近までボールを運ぶことはできたが、最終的に真のフィニッシャーがいなかったという見解だ。
昨年夏の移籍市場でストライカー(9番)にターゲットを置かなかったことが失敗の要因だとしている。
BBCラジオ5の解説者を務めるアーセナルOBで元イングランド代表DFマシュー・アップソン(46)は「PSGがフリーで抜け出すと常にゴールを決めてくると感じた。アーセナルはそのレベルにない」。パリSGがクワラツヘリア、ドゥエ、バルコラというスピードと技術を兼ね備えた3トップが常にゴールに向かっていたことを踏まえ、そうコメントしている。
確かにこの試合で見れば、ポゼッション力で押し込むアーセナルに対し、あまたのスペースが広がっていたため、持ち味とするカウンター攻撃がはまる展開だった。
ただ第1戦でパリSGが開始早々の攻勢で1点を奪い、逃げ切りに成功したため、第2戦の戦い方はこうならざるを得なかった。槍となる選手をそろえる相手へのリスクを理解しつつ、前へ出続け、自分たちが信じるゼロトップスタイルで得点をもぎ取る手法しかなかった。
シュート数は19本対11本とアーセナルが大きく上回った。サカが後半19分に放ったシュートがドンナルンマの神懸かり的なセーブに阻まれたように、ストライカー不在だったということ以前に、両者が持ち味を出し合った上で“際の勝負”をパリSGが制したというのが妥当だと考える。結果が付いてくれば、また違った印象を与えるものだった。
ただ今季無冠に終わったアーセナルは捲土(けんど)重来を期し、このオフにストライカーの獲得を目指すのか、再びゼロトップに磨きをかけるのか。グアルディオラの系譜を継ぐアルテタ監督、その采配への興味は尽きない。【佐藤隆志】