中日対DeNA 1回表、登板する中日先発の金丸(撮影・森本幸一)

<中日1-2DeNA>◇5日◇バンテリンドーム

黒星デビューも黄金ルーキーの片りんを見せた。4球団競合で中日入りしたドラフト1位金丸夢斗投手(22)がプロ初登板初先発。6回5安打2失点で敗戦投手になったが、最速152キロの直球を軸に8三振を奪った。「真っすぐは通用するなって思った」と自信を深めた。井上一樹監督(53)は投球内容を高評価。1度抹消するが、間隔を空けすぎないうちに次回の登板機会を与える考えだ。

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プロ第1球から、スタンドをざわつかせた。1番桑原の内角へ、金丸はこの日最速152キロ直球を投げ込んだ。「悔いがないように入りたかった。真っすぐを全力で、と決めていた」。プロ初奪三振は2番牧から。「取りにいった」と高め150キロで空振りさせ、3球三振。DeNA打線から8つの三振を奪った。

6回92球のうち、半数を超える47球が直球だった。「真っすぐは通用するなって思った」。テイクバックが小さく力感のないフォームから、打者の手元で直球が伸びるのが持ち味。ボールは親指を曲げて握るのが基本だが、金丸は曲げずに親指の腹の一部しかつけない。「手のひらで、手の中心で投げるイメージ。指先だけだと球が吹き上がるので、それを抑えるために。投げやすくて勝手にそういう投げ方になりました」。内角も大胆に突いていける制球力のよさも、そこから生まれている。

木下の2号ソロで先制してもらった直後の4回、2巡目の主軸ということもあり変化球で慎重になった。1死からオースティンに低めに変化球を集めた結果、四球。「ちょっと慎重にいきすぎた」。連打で1死満塁となり、山本も内角直球で詰まらせながら左翼に運ばれ逆転された。「少しでも甘く入ると、差し込んでいてもヒットゾーンに運ばれる」と、プロのすごさを肌で感じた瞬間だった。

神戸から車で父雄一さん、母淳子さんがスタンドに駆けつけた。金丸は「勝利をプレゼントしたかった。そこは次回に」と悔しがった。井上監督は「いいスタートをしながらも苦い経験も最初にした。もっと大胆にいってもいい。1回抹消するが、あれだけのパフォーマンスを見せて。空きすぎないように」と、近いうちに次回登板の機会を与えると話した。3連敗で借金2、5位転落も、黄金ルーキーが大きな戦力になることを確信できた試合となった。【石橋隆雄】

◆金丸夢斗(かねまる・ゆめと)2003年(平15)2月1日生まれ、神戸市出身。神港橘では甲子園出場なし。関大ではリーグ通算49試合20勝3敗、312奪三振、防御率0・83。3年秋から大学最終登板まで72回連続自責点0。最速154キロ。昨年3月、大学生で侍ジャパンに選出され、欧州代表戦に先発。2回をパーフェクト(4奪三振)で6投手の完全リレーにつなげた。昨年ドラフト1位で4球団競合の末、中日入団。177センチ、77キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸1600万円。

▽DeNA牧(中日金丸に)「いい投手ですね。ボールは強いですし、追い込まれたきついなという印象を受けました」

▽DeNA村田野手コーチ(中日金丸に)「力感がないようにみえてスパッとくる。これから中日を背負っていく投手になると思うので一発目にやっつけられてよかった」

▽中日木下(3回にDeNA先発ケイから2号ソロ)「好投手からまずは先制できてよかった」

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【中日】ドラ1金丸夢斗「真っすぐ通用する」深めた自信とプロの技実感 黒星も最速152キロ8K