ソフトバンク対ロッテ 9回裏ソフトバンク2死満塁、川瀬晃は左越えにサヨナラとなる適時二塁打を放ち大喜び(撮影・梅根麻紀)

<ソフトバンク4-3ロッテ>◇2日◇みずほペイペイドーム

ソフトバンク川瀬晃内野手(27)が涙のサヨナラ打でチームの連敗を5で止めた。2点を追う最終回に1点を返し、なおも2死満塁の場面。代打出場し、ロッテ益田から左中間を破った。土壇場で起死回生の一打を放ち、ヒーローは思わず感極まった。劇的な逆転サヨナラ勝ちで借金を1つ減らして6に。パ単独最下位からの巻き返しへ、大きな弾みをつけた。

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川瀬は泣いていた。劇的なサヨナラ打を決め、仲間から手荒い祝福を受ける。その場でうずくまり、目に涙を浮かべていた。

「やりました! いろいろなものがこみ上げてきた。本当に打てて良かった」

敗色濃厚だった。2点を追う最終回。1点を返し、なおも2死満塁から代打で出場した。「『絶対に回ってこい』と。みんながつないでくれて、すべてをかえしてやろうと。その思いだけです」。カウント3-1からの5球目だった。ロッテ益田の外角直球を仕留め、打球は前進守備の左中間を抜けていった。2人の走者が生還。2死走者なしからの鮮やかな決着劇に、小久保監督も興奮していた。「奇跡に近いですね。(代打で)行くなら川瀬しかいなかった。ほんとうによく打ってくれました」と手放しでたたえた。

想定力が勝負強さを生む。今季は17試合出場のうち途中出場が9試合。ベンチスタートで意識することは「自分が(試合に)出てるかのように頭で想定したり。頭でゲームをすることを大切にしている」と言う。例えば遊撃へ打球が飛んだ場合、ベンチで動きを頭でイメージする。「自分ならこういう動きをするなとか。あ、今宮さんはこういう動きしたな、勉強になるなとか。ベンチの中で試合に入っていく」と言う。ただ、座っているだけじゃない。常に準備、想定しながら出番を待つ。だからこそ、ここぞの場面で結果を残すことができる。

チームは連敗を「5」で止め、借金は1つ減って6とした。過去に借金8で優勝したのは、07年の日本ハムだけ。この試合に敗れると借金8となり、リーグ連覇の「デッドライン」に立つところだった。周東、今宮、近藤、柳田の主力が故障続きで苦しい状況は続く。それでも、川瀬はお立ち台で力強くチームの思いを代弁する。「チーム全員で前に進んでいこうと話しましたし。もっともっといい試合をファンのみなさんに見せていけたらいいなと。これから勢いに乗って連勝していきたい」と宣言した。ここからパ最下位からの巻き返しが始まる。【佐藤究】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ソフトバンク】「奇跡」川瀬晃9回2死で涙の代打サヨナラ打「頭でゲーム」勝負強さ生む想定力