チーム3点目を決め喜ぶ家長昭博と川崎Fのチームメート(ロイター)

<ACLE:川崎F3-2アルナスル>◇4月30日(日本時間5月1日)◇準決勝◇サウジアラビア・ジッダ

川崎フロンターレが、推定年俸約320億円のポルトガル代表FWクリスティアノ・ロナウド(40)擁するアルナスル(サウジアラビア)を3-2で破り、初の決勝に駒を進めた。伊藤達哉(27)と大関友翔(20)の両MFが、ともに先発起用に応える得点をマーク。後半出場のMF家長昭博(38)も3点目を奪い、クラブ史を塗り替えた初4強に満足などせず、準々決勝からスタメンを5人を入れ替えて勝ち切った。日本勢3大会連続の決勝進出。3日(日本時間4日)にアルアハリ(サウジアラビア)と、クラブ悲願の頂点を懸けて戦う。

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「サッカーは、名前でするものではない」。長谷部監督の言葉通り、ロナウドら世界的スター軍団と真っ向勝負した川崎Fが、初の決勝切符に付加価値で彩った。「選手全員、特に若手とベテラン選手の融合が素晴らしかった」と指揮官。気温32度、完全アウェーの中東で、組織力で勝った。

延長まで戦った準々決勝アルサド(カタール)戦から中2日。相手は横浜を4-1で一蹴してから中3日だったが、はね返した。開始10分、伊藤の美しいボレー弾で先手を取る。前リバプールFWマネの得点で追いつかれたが、前半41分に大会初先発の20歳大関が押し込む。後半は1点ずつ奪い合って世界を驚かせた。

金満軍団を倒した。ロナウドの推定年俸は約320億円。一方の川崎Fは23年度のトップチーム人件費が全体で32億円台だった。全選手の年俸に遠征費など経費も含まれる額を、その10倍を、たった1人で稼ぐ男に勝ち切った。セネガル代表のマネ、スペイン代表DFラポルテら欧州から獲得の5選手だけで約492億円と、アジアでは異次元のアベンジャーズ。しかし、勝ったのは極東の技巧派集団だ。試合MVPの伊藤は「ファンの方も含めて一丸になれた」と胸を張った。

バロンドール5度、世界一のインスタグラム登録者6・5億人を誇る背番号7「CR7」を、日本勢の公式戦では初めて無得点に抑えた。前半のポスト直撃ヘッドや後半終了間際の決定機3度など何度も脅かされたが、体で阻む。DF佐々木は「いやー怖かった」。直接FKをはじいたGK山口は「ナイスキーパー」と直接、声をかけられ「本当にうれしかった」と子供のように喜んだ。20歳の日本代表DF高井も20歳上の伝説をシャットアウトし「自信になった」と興奮した。

日本勢がロナウドのクラブに勝つのも初だった。マンチェスターU、Rマドリード在籍時も含めて3戦全敗で計5失点。G大阪、鹿島、横浜が屈してきたが、国内7冠の川崎Fが積年の借りを倍返しして、スターの目に涙を浮かべさせた。

中東にサックスブルーの花を咲かせ、宿願の「アジア青覇」まで1勝とした。三笘薫や田中碧が“卒業”しても強い。「夢は時として待たなければ…」と旅を終えたロナウドに代わり、長谷部監督は「サプライズを起こしたい」と決勝でもアップセットを予告した。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ACLE】初決勝進出の川崎F「サッカーは、名前でするものではない」組織力で金満軍団倒す