先制ゴールを決めたデンベレ(ロイター)

<UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL):アーセナル0-1パリSG>◇29日(日本時間30日)◇準決勝第1戦◇エミレーツ・スタジアム(ロンドン)

スペイン人指揮官同士の対決は、ルイス・エンリケ監督が率いるパリ・サンジェルマン(フランス)が、アウェーでアルテタ監督のアーセナル(イングランド)に1-0と先勝した。前半4分にフランス代表FWデンベレが左足で先制点を挙げると、守ってはイタリア代表GKドンナルンマがビッグセーブを連発し、虎の子の1点を守り抜いた。第2戦は5月7日(日本時間8日)に行われる。

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同じ戦術を持つチーム同士の第1ラウンドは、パリSGに軍配が上がった。開始早々3分過ぎ、トップのデンベレが中盤へ大きく下がりボールを引き出した。前線を自由に移動する10番が、突然アンカーの位置まで降りて攻撃の起点に。この動きでアーセナルを混乱させた。左オープンスペースを使い、自身は中央に入って得点を決めた。エンリケ監督は「ミッション達成だ」と、ほくそ笑んだ。

両チーム、多くのトライアングルができる4-3-3のゼロトップ型。センターFWがスペースを空け、ローテーション攻撃で流動性を生み出す。その鏡映しとなった一戦で、パリSGはアーセナルの変化を見逃さなかった。相手はボール奪取能力に優れた屈強なアンカー、トーマス・パーティーを累積警告で欠いた。ここがポイントだった。

本来インサイドハーフのライスをアンカーに下げ、1トップだったメリーノを1つ後ろに下げる玉突き起用となっていた。どこにスペースが空くのか、デンベレをはじめ、パリSGは理解していた。そこへ、気持ちにスキが生まれやすい立ち上がりの時間帯。開始のホイッスルから主導権を握り、勝負した。アウェーで狙い通りの展開となった。

バルセロナ王国を築いた偉人ヨハン・クライフ(16年没)。その薫陶を受けた弟子たちが欧州中に散り、流動性ある戦術を流布させている。エンリケも然り、グアルディオラに師事したアーセナルのアルテタも然り。その根幹にあるのは、ポジショニングだ。どこを空けるのか、どこが空くのか。フィジカル的要素が強まる現代サッカーでは、なおさら時間も空間も狭くなる。だからこそ戦術の妙がより求められる。

パリSGはCLでアウェー第1戦に勝利した場合、19試合中18試合で突破している。しかし、エンリケ監督はに慢心はない。「自分たちのプレーができて早い時間帯に得点できたが、第2戦はまた違った試合になる。タフな勝負になるだろう」。負傷交代したデンベレの状態に加え、相手はパーティーも戻ってくる。試合の行方はまだ見えない。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【欧州CL】パリSGデンベレV弾、ドンナルンマ好セーブで先勝「第2戦は違った試合になる」監督