横浜FC対鹿島 3連勝しサポーターに拍手する鹿島吉田(撮影・宮地輝)

<明治安田J1:横浜FC0-3鹿島>◇29日◇第13節◇ニッパツ三ツ沢

鹿島アントラーズがアウェーで横浜FCに3-0と快勝し、3連勝で首位を奪回した。後半にMFチャブリッチ、FW鈴木優磨の得点でリードすると、相手のオウンゴールもあって勝負を決めた。追加タイムには高校2年生FW吉田湊海(みなと)が出場し、16歳9カ月14日のクラブ史上最年少記録を樹立。負傷者が相次ぐ中、今後に弾みがつく勝利となった。

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災い転じて福となす。故障者が相次ぐ鹿島が総力戦で勝ち点3をもぎ取った。FW師岡が左アキレス腱(けん)断裂で長期離脱して、FWレオセアラらもいない。ユース所属の吉田が初のベンチ入りするなど開幕当初の“ベストメンバー”とは大きく異なったが、ふたを開けてみればゴールデンウイークの青空さながらにスカッと晴れ渡った。

前半こそ乾いたピッチにボールが走らず苦戦した。しかし後半になるとロングボールを有効に使い、後半4分にチャブリッチがPKを決めると縦への推進力ある攻撃が加速した。後半17分にはチャブリッチの横パスから鈴木が難なく右足で追加点。圧力をかけ続けた同32分には相手のオウンゴールで勝負を決めた。

そして後半49分には鈴木に代えて吉田がピッチに送り出された。わずか1分半ほどの出場時間でボールタッチは1回だったが、今後への大きな一歩となった。欠場者が多く出た一方で、新たな可能性を広げた。

名将の手腕が光る。鬼木監督は「競争の中で戦ってくれている。勝ちながら成長していくことが一番。相手が何を嫌がるのか考え、一戦必勝でやっている」。4月2日の広島戦から3連敗したが、後ろ向きになることはなかった。むしろ新たな選択肢をみつけるチャンスと捉えた。前日の紅白戦でゴールを決めた吉田を迷わず抜てき。チームに勢いをつける狙いも含めた。「彼の刺激、ユースの刺激になってくれたら」と起用にためらいはなかった。

吉田は「トップチームでやれること自信になるし、貪欲にやっていきます」。そんな13歳年下の言葉を知ってか知らずか、29歳の鈴木は「まだまだ負けるわけにはいきません」。ピンチはチャンスとよく言うが、チームに競争意識を育む絶好機。3連敗後の3連勝で首位浮上。黄金週間の主役に名乗りを上げた。【佐藤隆志】

▽横浜FC・DF福森(3失点完敗に)「強いポジティブなメンタリティーを持たなければいけない中、失点してしまったことによってネガティブなメンタリティーが出てしまった」

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【鹿島】3連勝で首位奪回、高校2年生の吉田湊海出場 故障者相次ぐも総力戦で勝ち点3もぎ取る