ベンチ前で戦況を見つめる新潟L・橋川監督(撮影・小林忠)

<WEリーグ:新潟L2-1長野>◇27日◇第19節第2日◇デンカS◇

アルビレックス新潟レディースが長野に2-1で逆転勝ちした。今季ホーム戦最多となる1843人のファンが訪れた中、0-1の後半33分、途中投入のFW道上彩花(30)が同点ゴールを奪うと、同追加タイム3分、MF滝川結女(25)が右足ボレーで勝ち越し点を決め試合をひっくり返した。橋川和晃監督(53)は「今季ホーム最多のサポーターの前で『アイシテルニイガタ」を歌おうと送り出し、それを最後まで諦めずに実践してくれたことに感謝している」と選手たちをたたえた。

鮮やかな逆転勝ち。橋川監督は試合後、ガッツポーズで喜んだ。

「(選手たちとサッカーを)積み上げている実感はすごくあるし、もっと進化できると思って取り組んでいる。ただ、サッカーチームは勝たないと不安になることがある。勝ちながら成長して行く、足踏みを止めない、という意味で大きな勝利だった」

前半から攻勢を仕掛けたが得点が奪えずにいると、「まだまだうちの選手たちの甘いところ」と後半6分に一瞬の隙を突かれて先制点を献上。嫌な空気になりかけたが、指揮官の積極的な采配がゲームを動かした。失点直後の同10分、ドリブラーのFW山本結菜(22)を投入。さらに同24分、道上、MF上尾野辺めぐみ(39)、DF富岡千宙(23)を一気にピッチに送り込んだ。

山本はトップの位置から背後へのアクションを続け、中央にいた滝川が左MFに回って攻撃に「タメ」をつくり、ビルドアップの再構築を図った。中央では上尾野辺が広角にパスを散らし、右MFに入った冨岡は推進力を生かして攻撃にアクセントを加えた。

交代策は見事、的中。同33分、山本が左のスペースに流れてドリブルを仕掛け、深い位置から低クロスを配給。相手GKがハンブルしたところをストライカーの道上が見逃さず、しっかりと決めて同点に追いつく。さらに攻撃の強度を高めた1-1の最終盤にはDF山谷瑠香(30)がセンターバックの位置からゴール前に駆け上がり、滝川の逆転ゴールをお膳立てした。

「我々のフィロソフィーの最初に『究極のエンジョイ』がある。それは自分でリスクを冒した中で勝ち取ったものが本当のエンジョイである、と。まさにそれを体現したゲームだった」

選手の能力を見極め、信じ、適切なタイミングで起用。相手のウイークを見つけて配置交換も柔軟に実行する。シュート数は相手の6本を圧倒的に上回る16本を放った。

「残り3試合でまだまだ成長できると思っている。今年のタイトルは取れなかったが、我々は挑み続けるしかない。挑み続けるからこそ、タイトルが取れる本当のチームになれる。残り3試合。ガチンコで勝負する」

就任からブレずに掲げる「堅守柔攻」のチームコンセプト。堅いディフェンスと柔軟なオフェンスで勝ち星を狙う新潟レディースのフットボールを最後の1分まで貫き、来シーズンにつなげる。【小林忠】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【WEリーグ】采配ズバリ新潟L橋川和晃監督「究極のエンジョイ」を選手が体現し長野に逆転勝ち