仙台育英対東北学院 4回裏仙台育英無死三塁で右前適時打を放つ仙台育英・砂(撮影・木村有優)

<春季宮城高校野球中部地区大会>◇26日◇仙台市民球場ほか

仙台育英にあこがれて入学した1年生が躍動した。元U15日本代表の砂涼人内野手が、東北学院戦に「7番二塁」でスタメン出場。5-0の4回無死三塁で右前適時打を放ち、公式戦初安打初打点をマークした。試合は7-0で7回コールド勝ちし、2試合連続のコールド勝ちで宮城大会切符をつかんだ。

憧れの戦闘服を身にまとい、球場を駆け回った。砂は1戦目の聖和学園戦に続いてスタメンに名を連ねると、4回無死三塁の好機で打席が回った。「チームとしてゴロアウトが多かったので、ゾーンを少し高めに設定して、低めを捨てました」と試合の中で修正。これが功を奏した。「ゾーンに甘く入った球を捉えました」と右前適時打。表情は変えなかったが「内心はすごくうれしかったです」と、公式戦初安打初打点を喜んだ。

シンボルマークにちなんで“ライオン軍団”の異名を持つ仙台育英は、「日本一のチーム内競争」を掲げる。部員数は約80人。実力を兼ね備えた新戦力も加わり、競争はさらに激化している。その中で砂はしっかりと勝ち抜き、出場機会をつかみとった。須江航監督(42)は「1球ごとにポジショニングを微調整したり、打席の中で狙い球を変更したりなど、目の付けどころが非常に高く、適応力がある選手です」と絶賛する。

それでも、砂は決して気を緩めない。「レベルが高く、とても激しい争いなので、試合に出る喜びを感じるだけではなく、常に危機感を持ってプレーをしたいです」。中学まで岩手で育ったが、高校野球の舞台に仙台育英を選んだ。練習参加で味わった雰囲気が忘れられなかった。「選手同士で話し合いながらチームをつくりあげる感じがあったので、今後の野球人生にも役立つと思いました」。

22年夏の甲子園。悲願の東北勢初優勝を、テレビの前で見届けた。「小さい頃から甲子園で戦っている姿をみてきたので、憧れというものがありました」。それから3年後。憧れてきた地で、高校野球をスタートさせた。「『2度目の初優勝』という目標を達成できるように、自分が勝利に貢献出来る選手になりたいです」。次は甲子園の地で、自分の手で成し遂げるつもりだ。【木村有優】

◆砂涼人(すな・りょうと)2009年5月21日生まれ、岩手県出身。小学時代は帯島スポーツ少年団、洋野ベースボールクラブ、楽天ジュニアでプレー。洋野シニアを経て仙台育英に入学した。23年には日台国際野球大会東北選抜、24年にはU15日本代表に選出。同年にコロンビアで行われた「第6回WBSC U15 ワールドカップ」では初優勝に貢献した。右投げ右打ち。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 仙台育英に憧れ入学 元U15日本代表1年砂涼人が公式戦初安打初打点 表情変えずも「嬉しい」