【阪神】6打席連続安打の佐藤輝明、勝負所での頭の切り替えとは「1発というより…」得点圏3割
<DeNA2-4阪神>◇22日◇横浜
阪神佐藤輝明内野手(26)が、20年MLBサイ・ヤング賞右腕のDeNAバウアーから2長打を放って快勝を導いた。2回に大山の先制犠飛を呼ぶ闘魂ヘッドスライディングの三塁打。4回は2点差に広げる適時二塁打を決め、完全な阪神ペースに持ち込んだ。3月のドジャース戦では、18年&23年に同賞を受賞した左腕スネルから3ランを放っており、今季はサイ・ヤング賞投手との対戦で1発を含む3安打4打点の大当たりだ。チームは2位を守り、今日23日にも首位に立つ。
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虎ファンを沸かせたのは、またも佐藤輝の一撃だった。2回先頭、バウアーの高め直球をしばきあげた。右翼へのライナーは低く強く伸びる。度会のグラブをはじく、強烈な打球だった。相手が処理にもたつく間に、一気に三塁へ。最後は闘志全開で頭から飛び込み、チームの士気を上げた。
「高めの球をしっかりはじけた。思い切り振りにいけてよかった。しっかりいい準備ができているのかなと思います」
無死三塁の好機をつくり、続く5番大山が先制犠飛。青く染まったハマスタのムードを、背番号8の一振りから変えた。1点リードの4回無死一、三塁の第2打席では、再びバウアーから右中間へ適時二塁打。打点はこの日4打点の巨人岡本に抜かれたが堂々2位の18打点。2打席連続長打でプロ最長、2試合またぎの6打席連続安打となった。「いいスイングができている。継続してできるように」。大活躍しても気を緩めることはなかった。
サイ・ヤング賞獲得経験のあるバウアーから2安打1打点。今年3月に行われたプレシーズンゲームのドジャース戦でも、同賞を2度獲得した左腕スネルから決勝3ランを放った。メジャー最高峰の賞を獲得した2投手との今季対戦は、1発を含む5打数3安打4打点で打率6割。世界レベルの相手にも、確かな実力を証明した。
繊細な意識の切り替えが勝負強さにつながっている。4回に放った二塁打は、2ストライクからコンパクトにナックルカーブを捉えたもの。追加点が欲しい展開とあって、頭の中でしっかりスイッチを切り替えていた。「どうしても1発というより、確実にヒットが欲しい場面もあるので」。
最大の魅力はフルスイングの長打。それでも勝負どころでは打撃を変える。特に2ストライクと追い込まれた場面などでは「長打はチャンスがあったら」程度の感覚。ここまで得点圏では打率3割、3本塁打、10打点。ここ一番の“軽打の意識”がこの日も光った。
価値ある2長打で連勝を導き、チームの貯金は今季最多タイの2。首位広島に1ゲーム差と迫り、きょう23日にも同率でセ界トップに返り咲く。「もちろん3つ勝つつもりで。しっかり準備したいと思います」。頼もしい4番が連勝街道を引っ張る。【波部俊之介】