佐々木麟太郎にNPB3球団“極秘視察” メジャー級凡打に巨人スカウト「スイング速い証拠」
【サンフランシスコ(米カリフォルニア州)18日(日本時間19日)=久保賢吾】巨人、西武らNPB3球団の球団幹部が、スタンフォード大・佐々木麟太郎内野手(20=花巻東)が出場したノートルダム大との一戦を「極秘視察」した。総勢9人のNPB関係者が訪れる中、20歳の誕生日だった佐々木は「6番一塁」で出場。4打数無安打1打点でチームも逆転負けを喫したが、巨人水野雄仁編成本部長代理スカウト担当(59)はスイングスピードの速さを評価した。
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日本から遠く離れた米カリフォルニア州のスタンフォード大に、巨人、西武らNPB3球団の球団関係者がスタンドに集結した。西武は秋元球団副本部長ら最多の4人で視察。巨人水野編成本部長代理スカウト担当は「3球団で申し合わせたわけではなかったので、球場に来てビックリした」と驚いた表情で話したが、各球団ともに佐々木の打席の度に動画を撮影し、熱視線を送った。
MLBのドラフト会議は4年制大学では2年生を修了、または21歳になった時点で指名対象で、4月生まれの佐々木は26年ドラフトで対象になる。入学前の昨年9月、佐々木は報道陣から「メジャーリーグと日本のプロ野球にどういう思いを持ってるか」と聞かれ「今の段階では両方から指名していただくチャンスはあるので」とコメント。高卒でも1位指名が有力視された大砲だけに、先を見据えた各球団の行動だった。
ノートルダム大との一戦では、4打数無安打1打点に終わったが、2打席目の高々と打ち上げた一邪飛に能力の高さの一端を示した。関係者によれば滞空時間は6秒89。6秒を超えればメジャー級と言われる中、6秒後半を記録し、周囲を驚かせた。水野編成本部長代理スカウト担当は「凡打でも、あれだけ高いフライを打てるのは、スイングスピードが速い証拠」と高評価した。
フィジカル面での成長も目に留まった。今季は全34試合に出場し、139打数36安打で打率2割5分9厘、4本塁打、27打点。水野編成本部長代理スカウト担当は「体は絞れてるように見えた。高校生の時はケガで試合に出られない時期もあったが、全試合に出られていることは評価できる」と目を細めた。すでに極秘で複数回視察した球団もあるとみられ、日米で注目を集める。
◆メジャーリーグのドラフト MLBのドラフト会議は毎年7月に開催され、米国またはカナダ、プエルトリコなどの居住者が対象。4年制大学では2年生を修了、または21歳になった時点で指名対象となる。4月生まれの佐々木麟は26年ドラフトで対象になる。過去に日本の高校出身者では坂本充(アリゾナウエスタン短大→02年ロッキーズ24巡目)、鷲谷修也(デザート短大→08年ナショナルズ42巡目で入団せず、09年ナショナルズ14巡目で入団)、西田陸浮(オレゴン大→23年ホワイトソックス11巡目)が指名を受けている。NPB球団に入団する場合はドラフト会議での指名が必要となる。
◆佐々木麟太郎(ささき・りんたろう)2005年(平17)4月18日生まれ、岩手県北上市出身。幼少時から野球を始め、江釣子小1年時に江釣子ジュニアスポーツ少年団に入団。花巻東では1年春からベンチ入り。高校通算140本塁打(公式戦18本)。趣味はサウナ。好きな言葉は「追求心」。右投げ左打ち。
○…スタンフォード大・佐々木が、ノートルダム大戦で4打数無安打1打点に終わり、チームも3-9で大敗した。1打席目は二ゴロ、2打席目は「悪い打席ではなかったと思います」と捉えたかに見えたが、滞空時間の長い一邪飛に終わった。3打席目は二ゴロ、4打席目は一ゴロで打点を挙げたが、佐々木は「自身がふがいなくて、責任は自分にあるのかなと思います」と敗戦に悔しさをにじませた。「ここ最近、なかなか結果に結びつかないので、自分自身を信じて、振り抜いていきたいです」と前を向き、今日19日のノートルダム大戦へと切り替えた。