【阪神】今季初勝利の才木浩人「去年と立場が違う」チーム背負う25年、沖縄で見せていた自覚とは
<阪神5-1ヤクルト>◇15日◇松山
三度目の正直だ。阪神才木浩人投手(26)が今季3戦目で、初の白星をつかんだ。
「強いて言うなら、もう1イニングいけたらというところですけど。3戦目にしてやっとゼロで終われたのでそこは良かった」
初回2死から四球を与えたが、5回まで無安打投球。6回2死から西川に初安打を打たれた場面は「ノーヒットノーランミスったなと思いました」と振り返ったが、ペースは乱さなかった。7回100球を投げて2安打無失点。今季初の無失点投球で、開幕から2戦遠のいた初勝利となった。
それでも喜んだのは、自身よりもチームとしての結果。「チームに勝ちが一番ついて欲しいところなので」。昨季チーム最多13勝を挙げ、ローテの中心となった今季。投手陣をけん引する立場としての自覚がにじんでいた。
2月の沖縄キャンプ中もそうだった。ブルペンにはこれまで以上に自身のボールと向き合う才木がいた。トラックマンとにらみ合う日や、投球後にじっくり映像を見つめた日もあった。昨季は侍ジャパンも経験。より「見られる立場」となり、ブルペンの振る舞いから意識的に変えていた。
「去年、一昨年とはもう立場が違う。年齢的にも中心となっていく年齢。チームを引っ張っていけるような調整を工夫しました」
「アピール」の全力投球も辞めた。イメージするのは西勇や大竹らのような身体の動きやコンディション、感触など、「自身の課題」と向き合う投球。今やチーム内で目標の選手として名を挙げられることも少なくない。「手本」となるべき存在として、自然と生まれた自覚だった。
「若い子みたいにアピールするのもすごく大事。けど僕はもう、そういう立場じゃない」。
藤川監督も初勝利について問われると「そのレベルではないと思う」とキッパリ。「(3試合とも)自分のピッチングをきれいに力強く作っていた。攻撃とかみ合って良かったですね」と評価した。チームを背負う25年。才木が節目の1勝目を挙げた。【波部俊之介】