横浜監督のスティーブ・ホーランド氏(左)と西野努SD(2024年12月8日撮影)

横浜F・マリノスの強化責任者の西野努スポーティングダイレクター(SD、54)が10日、横須賀市内のクラブハウスでメディア対応し、明治安田J1で17位と低迷するチーム状況についての自身の見解を明かした。

今季からイングランド代表元ヘッドコーチのスティーブ・ホーランド氏(54)を監督に迎えたが、クラブが掲げる「アタッキングフットボール」とは打って変わり、9試合でわずか7得点。9日の川崎フロンターレ戦では3得点を挙げたが、その前の3試合は無得点と攻撃の迫力不足は深刻だった。そこについて問われるとこう説明した。

「当然、満足していない。アタッキングフットボールの体現というところには程遠いと思っています。ここに関しては、スティーブ監督と一緒にどういうチーム作りをしていくかっていうのは進めていきますけど、(昨年から)失点数を減らすという1つのハードルは順調に克服していると思っています。一方で守備を整備するってことは、ある程度ルールを作って、組織として決まり事を全員で徹底してやらなきゃいけないので、その部分と攻撃的なクリエーティビティー(創造性)だったり、選手の自由度のところは、守備側に引っ張られて発揮できなくなっていることは、皆さんが見ていても分かることだし、僕も感じているところだし、監督もそこは理解しています」

ピッチ上で選手たちが躍動する「アタッキングフットボール」が表現されていない-。1年前に監督を務め、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)準優勝に導いたハリー・キューウェル監督の解任理由だった。J1では8勝5分け10敗の12位という成績。1試合平均の獲得勝ち点は1・26だった。それに対し、ホーランド監督は1勝5分け3敗の17位で、1試合平均は0・89と順位同様にキューウェル監督よりも大きく劣っている。

ファン・サポーターも納得できない現状だけに、このままだといつ解任論に発展してもおかしくない。その“ボーダーライン”について質問されると、こう回答した。

「今話すものじゃないと思っています。チームの成績やパフォーマンスというのは、監督が志向するサッカーと、それをどうチームに落とし込んでいて、チームがどう成長していて、それで結果的に勝敗、チーム順位というところに目に見える形で現れると思っている。何が言いたいかというと、監督1人の責任領域のところでチームパフォーマンスは大きく影響されるが、チームにもプロの優秀なスタッフたちがいます。それぞれの領域のみんなが毎日、一生懸命に自分たちのやるべきことを、少しでもチャレンジしながらやっているかというところが合わさって、チームの結果になってくるし、チームのパフォーマンスなると思う。監督をどうこうするという議論は分かりやすですけど、僕の役割としてチームをどう成長させていくかっていう観点から言うと、監督1人の能力を評価するだけで議論したくない。今一度チームに関わるみんなには、やれることを本当にやっているのか、選手にもチームスタッフにも強く毎日、問いかけたい」

現在のチーム成績は監督1人のものでなく、クラブとしての努力がまだ足りないという認識を示した。

もちろん監督の去就については常に念頭に置いておくべきものと断った上で、「今はまだ全然そういう状況にはないと思っています。みんなが少しずつ努力することで、このチームは良くなっていくというふうに思っているので、そこは強調しておきたい」とクギを刺した。

ホーランド監督の細かな指導もあって、堅い守備の構築は出来上がりつつある。ただボールを奪う位置が自陣の低い位置となっており攻撃はロングカウンターが主体。持ち味の速く攻めることが不足している。より高い位置でボールを奪うことができれば、ブラジル人アタッカーを中心にもともと攻撃のポテンシャルの高い選手が揃うだけに状況は一変しそうだ。

今月下旬からはACLエリートも控えているが、まずは目の前のリーグ戦を一戦一戦大事に戦っていくことに集中。「当然、結果が求められるチームだし、結果を残さなきゃいけない。毎年のようにタイトル争いしなければいけないチーム」。強い覚悟を持ってJ1での巻き返し、そして悲願のアジアタイトル獲得を目指していく。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【横浜】西野SDが17位と低迷するチームに「監督1人の能力を評価するだけで議論したくない」