アルプス席で応援した智弁和歌山の宮口祐司校長(撮影・柏原誠)

<センバツ高校野球:横浜11-4智弁和歌山>◇30日◇決勝

優勝には届かなかった智弁和歌山だが、アルプススタンドには満足そうに笑みをたたえる宮口祐司校長(69)の姿があった。

「勝てない校長と言われておりましたので…」と頭をかいた。全国制覇した翌年の22年4月に校長に。だが、そこから3回の甲子園で、なぜか全て初戦敗退。もちろん何の責任もないが、肩身が狭かった。

「だから今度こそ1勝してくれと。この大会は1勝だけで満足でした」

今月末で校長を退任し、学校を離れる。78年4月の開校と同時に、新卒で教員になった。学校の歴史のすべてを知る数少ない人材。それだけに「1勝だけで満足」の言葉も、オーバーに聞こえない。

1勝どころか、5試合もアルプス席から目に焼きつけた。思いがけず長い春にしてくれた選手たちに「本当に感謝しかない。ドラマチックですよね。花道を作ってくれて、最高の思い出になりました」と、優しく目尻を下げた。

チームより先に和歌山に戻り、31日に学校で出迎える。教員生活47年を締めくくる仕事になる。「よくやった。ありがとうと言ってあげたいですね」。これ以上ない、はなむけだ。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【センバツ】「ドラマチック」退任の智弁和歌山・宮口祐司校長 47年を締めくくる最後の仕事は