故郷・大船渡市の森林火災で祖父母宅全焼 花巻東・森下祐帆は感謝しながらプレーで元気届ける
<センバツ高校野球:健大高崎9-1花巻東>◇26日◇準々決勝
<敗戦を越えて:花巻東・森下祐帆内野手(3年)>
甲子園から大船渡へ-。花巻東は準々決勝で姿を消したが、森下はこの瞬間を思いきり楽しみ、喜びをかみしめながらプレーした。「本当にいい場所というか、高校野球といったら甲子園だなと改めて思いました」。
故郷の岩手・大船渡市の大規模な森林火災により、祖父母宅は全焼、隣接する実家も大きな被害を受けた。火災が続く中で大阪入り。不安ばかりが募っていた胸中を仲間がケアしてくれた。「変に心配するのではなく、いつも通り接してくれました。それがみんなの気遣いというか、優しさだったのだと思います」と感謝。「大船渡に元気を届けよう」と決意し、開幕を迎えた。
米子松蔭(鳥取)との初戦では3安打1打点1盗塁と大暴れ。「大変な状況の中で自分の好きな野球を出来ているので、感謝しながら一生懸命プレーしました」。その後の試合も持ち味の走塁や堅守で甲子園を沸かせた。
甲子園開催の裏で故郷が災害に苦しんでいる状況。スポーツ少年団では主将も務め、幼少期から人一倍責任感が強い性格だった息子を心配していた父航生さん(48)も安堵(あんど)の表情だ。「プレッシャーや責任を感じることなく思いきりプレーしていて安心しました。1つ1つのプレーにすごく元気をもらいました」。
1000キロ以上離れた故郷にもきっと、元気を届けられたはずだ。【木村有優】