【センバツ】注目の健大高崎・石垣元気がようやくお披露目「アドレナリン出ていた」全球150キロ超
<センバツ高校野球:健大高崎4-3敦賀気比>◇23日◇2回戦
連覇を目指す健大高崎(群馬)が敦賀気比(福井)に4-3で競り勝ち、2年連続の8強に進出した。最速158キロのエース石垣元気(3年)が9回2死一塁から今大会初登板を果たし、全5球150キロ超えと圧倒的な内容で好救援した。球速はセンバツ歴代3位タイの152キロを計測。左脇腹の張りで初戦を回避したが、負傷の影響を感じさせない投球で連覇へ勢いづけた。花巻東(岩手)は二松学舎大付(東京)を破り、7年ぶりの8強に進んだ。
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ヒーローは遅れてやってくる。今大会初登板の健大高崎・石垣が1点リードの9回裏2死一塁、5球連続直球勝負で試合を締めた。
一打出ればピンチが広がる場面。敦賀気比で最も警戒する岡部に打席が回ると、満を持してマウンドに向かった。甲子園全体から沸き起こった大歓声にも後押しされ、初球からいきなり150キロを計測。一瞬で聖地をどよめかせた。
「今日は真っすぐの調子が良くて、アドレナリンが出ていました」
持ち味の球威で押した。2球目はこの日最速の152キロ。3球目は151キロ、4球目は152キロ。最後は5球目の152キロで詰まらせ遊飛に打ち取った。5球全て外角高めの真っすぐ。捕手小堀の要求に応え、今出せるフルパワーで小細工抜きの全力投球を決めた。
大会直前の練習で左脇腹を痛め、初戦の明徳義塾戦は登板を回避した。医師の診断では1カ月の安静を要するというコンディション。登板機会があれば変化球主体で打たせて取る投球すら模索していたが、電気治療などのケアを入念に行って復調した。2試合連続先発した下重が131球目に四球を与えた直後、好リリーフで8強入りだ。
昨秋の関東大会では自己最速158キロをマーク。球速へのこだわりは人一倍強い。センバツでは歴代3位タイの152キロにも「まだまだ上げられるし、いいボールが投げられると思います」と貪欲な姿勢を崩さない。
エースの帰還を印象づける内容に、青柳博文監督(52)は「石垣が投げられないと優勝は難しいと思っています。頼もしくなったと思いますけど、もっともっと良くなる」と予告。史上4校目の連覇へ、視界良好だ。【平山連】
◆5球セーブ 健大高崎・石垣は投球5球。高校野球ではセーブを採用しないが、プロならセーブが記録される状況だった。過去に同様のケースでは03年春の涌井秀章(横浜)が徳島商戦で先発成瀬善久をリリーフして5球、21年夏の伊藤大稀(智弁和歌山)が高松商戦で1球、昨年春の今朝丸裕喜(報徳学園)が中央学院戦で2球などがある。
◆石垣元気(いしがき・げんき)2007年(平19)8月16日生まれ、北海道登別市出身。小1で野球を始め、中学は洞爺湖シニアでプレー。健大高崎では1年春の県大会からベンチ入りし、2年春には5試合防御率1・96で2年生コンビの佐藤龍月とセンバツVに貢献。卒業後の希望進路は「プロ1本」と明言しており、将来の夢は大リーガー。最速158キロ。178センチ、78キロ。右投げ両打ち。
▽敦賀気比・岡部(石垣と対戦)「真っすぐの威力が普通のピッチャーと全然違いました。伸びが違った。これまで対戦した中で一番速かった」
▽敦賀気比・東哲平監督(石垣について)「うちも岡部だったのでどんな対戦になるかなと思って見てましたけど、本当に素晴らしい球を投げていましたね」
▽健大高崎・下重投手(6回1死まで無安打投球も8回2/3を3失点)「序盤は低めに変化球も集まり、制球よく投げられたが、6回からストライクゾーンに甘く入ってしまった。最後まで投げ抜くことができなかったのは自分の力不足」
◆前年王者の8強 史上4校目の大会連覇を狙う健大高崎が8強入り。前年優勝校の8強は24チーム目。過去23チームの準々決勝成績は18勝5敗。