横浜対市和歌山 3回途中から2番手で登板した市和歌山・丹羽(撮影・藤尾明華)

<センバツ高校野球:横浜4-2市和歌山>◇19日◇1回戦

善戦およばず敗れた市和歌山に、新スター誕生の予感があふれた。丹羽涼介投手(2年)が横浜打線を封じ込めた。

救援した3回1死満塁のピンチを、見逃し三振と、遊ゴロで鮮やかに切り抜けた。均整のとれた体格から繰り出す快速球に、スライダー、フォークも切れ味鋭かった。初めての甲子園で、自己最速を4キロ更新する147キロを計測した。

4回に1点を奪われたが、5回以降は1安打無失点とエンジン全開。8回には阿部葉太内野手、奥村頼人投手(ともに3年)と看板打者2人から変化球を落として空振り三振を奪い、自信を深めた。

「強い相手なので、厳しいところに攻めないと打たれると思っていました。気持ちは熱かったけど、頭は冷静でした。意外に通用するな、と思いました」

対戦が決まる前から、同じ2年生右腕の横浜・織田翔希を強烈に意識していた。「負けていられないと思っていました」。だがベンチから、じかに見た織田は想像以上だった。「145キロくらいと思っていたら150を超えてきた。速くてびっくりしました。(スイッチが)入りましたね」。相手も152キロで自己最速をマーク。打っては織田から右安打。逆に織田からは2三振を奪った。ライバル心をむき出しにした。

1年夏からベンチ入り。昨春のセンバツに出場した田辺戦に先発し、敗れた経験が、成長を後押しした。「あのころの自分はメンタルもコントロールも未熟だった。平均球速も遅かった」。そこを克服しての、大きな成長だった。先日の自校での練習試合では150キロも計測。公式戦での大台超えも時間の問題だ。

期待に応える鮮烈な甲子園デビューに、半田真一監督(44)は「一気にいかれてもおかしくない場面だったと思うけど、勇気を持って(攻撃を)切ってくれた。100点じゃないですか」と、ほめたたえた。

昨秋の近畿大会で2連続完封を演じたエース土井源二郎(3年)が、大会前に右肩痛を発症。痛みをこらえて先発したが、初回から打ち込まれた。厳しい展開を好試合に転じさせた丹羽の存在感が光った。【柏原誠】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【センバツ】織田翔希に負けん!市和歌山「隠れ150キロ」2年生鮮烈デビュー「思ったより通用」