カブス対ドジャース 開幕戦勝利を飾り、ドジャースのロバーツ監督(右)らとハイタッチで喜び合う大谷(中央)。左は佐々木(撮影・浅見桂子)

<カブス1-4ドジャース>◇18日◇東京ドーム

歴史的開幕戦の主役は、やはりドジャース大谷翔平投手(30)だった。18日のカブスとの開幕戦(東京ドーム)に、「1番DH」でスタメン出場し、5打数2安打。MVPトリオを形成するベッツとフリーマンが欠場した中、1点を追う5回に右翼へ強烈な今季初安打で3得点を呼び込み、9回には二塁打でダメ押し点を演出した。ドジャース山本、カブス今永と両チームの開幕投手を史上初めて日本人が務め、日本選手が4人先発出場した、6度目の日本開催の開幕戦。2年連続世界一へ、大谷が2度の快音で幕開けを告げた。

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響き渡る大歓声とともに、大谷が試合を動かした。5回1死一塁、2番手の右腕ブラウンの高めナックルボールを右前に思い切り引っ張った。107・4マイル(約173キロ)の高速打球で、25年シーズン初安打をマーク。静寂に包まれた東京ドームが一転し、拍手と歓喜に沸いた。試合の流れを変える「ゲームチェンジャー」とも称される大谷が口火を切り、つながったド軍打線。3得点で、あっという間に逆転した。

プレーボールと当時に、大谷と今永の対決にファンが固唾(かたず)をのんだ。鳴り物の応援がないメジャー開幕戦。1球1球、異様な静けさの中で真剣勝負を繰り広げた。大谷は第1打席、カウント1-1からの3球目、ど真ん中に入ってきた93・1マイル(約150キロ)の直球を打ち損じ、二ゴロで凡退。第2打席は二直で抑えられ、メジャー通算3度目の対戦でも今永に封じられた。だが、やられっぱなしでは終われない。投手は代わったが、第3打席で好結果につなげた。

昨年11月に左肩を手術し、同12月上旬の時点ではスイングもできない状態だった。それでも、打撃の基本とする「構え」の練習は怠らなかった。昨年の開幕戦と比べると構えた際のバットの傾きが少なく、上向きにすっと立てている。「50-50(50本塁打&50盗塁)」へ向けて絶好調だった24年シーズン終盤からから継続した形だ。春のキャンプ中、オープン戦出場後に、鏡と向き合い、黙々と構えを確認する姿もあった。微調整を重ね、打者として開幕戦にきっちり間に合わせた。

その構えで踏む足場を、ニュースパイクで固めた。かかとからつま先にかけて赤いラインが入り、靴底の裏側には愛犬デコピンのイラストが描かれたニューバランス製の特注スパイク。今回の開幕シリーズでは真美子夫人とデコピンは同行せず、米国ロサンゼルスから見守っている。家族への想いも胸にプレーする決意の表れだったに違いない。

9回の第5打席では、右翼線への二塁打を放ち、追加点への口火を切った。2得点に絡み、打線をけん引した。チームは2番打者ベッツが体調不良で欠場となり、3番フリーマンが左脇腹の違和感で急きょ先発メンバーから外れた。MVPトリオの2選手が出場できない緊急事態に見舞われたが、大谷のショータイムは健在。開幕投手の山本、対戦相手の今永、鈴木とともに、故郷のファンを沸かせた。【斎藤庸裕】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 やはり主役は大谷翔平!歴史的開幕戦でショータイム!逆転呼ぶ初安打含むマルチ 2年連続世界一へ