「投げる哲学者」今永昇太のサービス精神「25球目なら言えます」出した回答は?
カブスの開幕投手、今永昇太投手(30)が「鉄」の心でドジャース打線に立ち向かう。本番を控えた16日、東京ドームで約2時間練習。23年WBC以来となるマウンドの感触を確かめた。エース級左腕ジャスティン・スティール投手(29)からの助言を胸に、1番大谷から始まる世界一打線を牛耳り、100年後も歴史に残る快投を見せる。
◇ ◇ ◇
今季のメジャーリーグは、今永が投じる初球から始まる。球種を問われると「初球、何を投げるかを教えるのは、じゃんけんで『チョキを出すよ』と言ってるようなものなので、1球目は言えないです」。回答をそれだけで終わらせないのが「投げる哲学者」のサービス精神。「けど、25球目ぐらいなら言えます。多分パーを出すと思います」と、日米報道陣の笑いを誘った。
準備は念入りにした。前日練習の45分前には、帰国後初めて東京ドームのマウンドへ上がった。マウンドを覆うシートを外してもらい、土が米国仕様になっていることを確認。23年WBC以来となる登板に、5度腕を振ってセットポジションからの景色を確認。6度目からは二塁方向を何度も見た。「内野手のポジショニング(の確認)だったり、二塁からホームに振り向く時に重心がぶれなければ、真っすぐ捕手方向に力が進むかな」と、イメージトレーニングを行った。
昨季は15勝でチームの勝ち頭だ。15日に「生きて迎える使命を全うしたい」と話していた開幕投手へ「健康に明日が迎えられそうなので、最初の責任は果たせそう」。相手の1番打者は大谷が濃厚。「世界一の選手であることは間違いない。自分がベストな投球を心がけ、それを彼が打ったか、打たなかったの2択だけ。時には彼の技術が上回ってしまうかもしれないけど、その時点で試合は決まらない。試合が決まる時まで頑張りたい」と、意気込んだ。
大谷効果もあり、日本中が注目する。「メンタルが強い選手だとは思っていない」と自己分析し「かなり強いプレッシャーも感じている」。23年16勝のスティールに重圧への対処法を聞いた。「心配するな。100年後、誰も覚えているヤツはいない」という助言に「100年間もし僕が生きていたら、俺が覚えているな」と思いながらも、心が軽くなった。「誰かに操作されるんじゃなく、やりたいことやる」と米国暮らしを楽しむと決めた。心も腕も、しなやかに投げる。【斎藤直樹】