ソフトバンク対日本ハム 先発した上沢の投球を見る新庄監督(撮影・梅根麻紀)

<オープン戦:ソフトバンク3ー8日本ハム>◇16日◇みずほペイペイドーム

日本ハム新庄剛志監督(53)が、今季からソフトバンク入りした上沢直之投手(31)との初対戦で、3回までに9安打4盗塁5得点と、打って走って攻略した。特徴を熟知するクレバー右腕を引っかき回し、結果的に8-3と快勝。1月には「彼が投げるときには、ファンのためにも負けない野球をしたい」と話していたが、まずはオープン戦で軽い“ジャブ”を放った。

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新庄監督は試合後、報道陣に2センチほどに小さく折り畳んだメモを渡し、言葉を発することなく、球場を後にした。メモにはこう記されていた。黒字のペンで手書きで「お話しする事は何もございません」。日本ハムから米挑戦1年でソフトバンク入り。さまざまな思惑がある中、1月に「いろいろ迷って決断したと思う。とにかくウチは負けない。ファンのために」と誓った指揮官は、まず最初の対戦で、アグレッシブに仕掛け、勝った。

とにかく走った。初回1死で矢沢が右前打で出塁すると「早めにスタートを切れるようという風には試合前に言われてた」と次の松本剛への初球で、二盗に成功。松本剛の左前打で1死一、三塁とチャンスを広げ、松本剛も二盗で二、三塁とし、吉田の右犠飛であっさり先制点をもぎ取った。2回に2点を追加した直後には、二塁走者の五十幡と一塁走者の矢沢が重盗。ベンチの指揮官は何度も“うんうん”と、うなずいた。

そして打った。2回は3連打で満塁とし矢沢の中前2点適時打、3回は先頭の吉田からの連打と送りバントで1死二、三塁のチャンスをつくり、最後は伏見の中前2点適時打と効果的に加点した。「(前の打者の石井)一成がバントを一発で決めてくれたので、いい流れで打席に立てました」と伏見。上沢から2犠打も絡め9安打5得点と、やりたい放題だった。

まだオープン戦だが、優勝を争うであろう相手に、シーズン前に嫌なイメージを与えておくことは大事なことだ。上沢と同期の松本剛は1安打1盗塁に「何回も対戦する投手になる。嫌な印象を少しでも与えればっていうのは試合前も話していました。そういう意味ではいい試合ができた」。その上で「経験値の高い選手なので、全てにおいて修正して来る」と警戒。ヒリヒリするバトルの幕が切って下ろされた。【永野高輔】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【日本ハム】上沢直之を攻略「お話しする事は何もございません」新庄監督はメモだけ残し、球場去る