横浜対東大 試合前、握手を交わす阿部(右)と東大・杉浦(撮影・垰建太)

<高校野球練習試合:横浜13-1東大>◇7日◇東大グラウンド

ドタバタ移動から東大にに大勝し、19年ぶりVに弾みをつけた。第97回選抜高校野球大会(18日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選会が7日、大阪市内で行われ、昨秋の明治神宮大会を制した横浜(神奈川)は、大会2日目の第2試合で市和歌山と対戦することが決まった。抽選会を終えると、阿部葉太主将(3年)と村田浩明監督(38)が大阪から東京へ新幹線移動。東京6大学野球の東大との初の練習試合に臨み、大学生を相手に阿部主将の3ランなど2本塁打を含む11安打13得点と大勝。紫紺の大旗へ、勢いをつけた。

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慌ただしい1日を終え、阿部は「ずっと緊張していました」と、ようやくホッとひと息ついた。午前9時からの抽選会に出席し、同10時30分過ぎに抽選会会場を出てタクシーで新大阪へ。同11時頃の新幹線に乗車し東京駅で下車すると、関係者の車で東京・文京区の東大グラウンドに移動。到着したのは、試合開始午後3時の15分前だった。

「新幹線ではずっと座ったまま。ちょっと寝そうになって危なかったです(笑い)。品川辺りで結構、お客さんが降りたので、監督に『通路でアップできるんじゃない?』って冗談で言われましたけど。さすがにできなかったです(笑い)」

移動の疲れもなんのその。軽くウオーミングアップし、キャッチボールもわずか10球。それでも「1番中堅」で先発出場すると、試合開始直後の初球。すっぽ抜けたボールを捉え中堅フェンス直撃の三塁打でチャンスメーク。2回には2死一、三塁から変化球を捉え右越え3ランを放った。4回にも1死一、三塁で遊ゴロの間に6点目の走者を迎え入れ4打点目。5打数3安打4打点と大暴れだ。

抽選会でパワーをもらった。前日の6日、出場校の主将によるキャプテントークでは、対戦したい相手に横浜の名前が挙がった。「あらためて追われる立場なんだと実感した」。阿部の体のスイッチが入った。「もっとやらないといけない」。どんな状況でも、自分の力を発揮する。東大戦で結果を残す心の準備は、抽選会会場からできていた。打撃では「捉えられる率は上がってきたと思います」と、この冬の成長に手応えをつかんだ。

勉強で国内NO・1の東大と、野球でNO・1を目指す横浜。「東大の選手は勉強で。自分たちは野球で結果を出して人生を切り開いているんです」と阿部。抽選会のこの日、大学生と、トップを目指す志をともにし、日本一を目指す思いを新たにした。【保坂淑子】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【センバツ】トップ目指す志…横浜・阿部葉太、抽選会後直行東大戦で3ラン、大勝で19年ぶりVへ