【日本ハム】松岡洸希「話に入れない」1人悔しさ味わったミレニアム食事会から支配下復帰へ変貌
<オープン戦:日本ハム3-2西武>◇5日◇エスコンフィールド
日本ハムの育成右腕、松岡洸希投手(24)が支配下昇格へ猛アピールした。
1点リードの9回。昨季終了後からフォームを参考にする巨人大勢のような剛速球で西武打線を圧倒した。
先頭の外崎には「人生、マックスです」という154キロもマークし、最後は「それも自己最速です」という146キロのフォークで空振り三振。仲田は144キロのフォークで一ゴロ、牧野は153キロ直球で詰まらせて右飛。オープン戦では西武時代を通じて初セーブを挙げた。
22年オフの第1回現役ドラフトで西武から移籍して3年目。23年は1度も1軍昇格できず、オフに育成選手として再契約。育成1年目の昨季も支配下に上がれなかった。そんな右腕がひと冬を越えて大変身したきっかけを意外な人物が明かした。新庄剛志監督(53)だ。
新庄監督 松岡君、良くないですか。(本人に)聞いたら同級生の食事会に行って、みんなはクライマックスの話とかをしている中で会話に入れなかった。それでグワァってこみ上げるものがあったらしくて、それで急に変わったらしい。その食事会がきっかけ。毎日、食事会すればいい(笑い)。
松岡によると、その食事会は昨年11月末に北海道で開催された。ミレニアム世代の右腕は、今回の侍ジャパンに選出されている万波や水谷、今季の開幕投手に指名されている金村らに囲まれて思った。「2000年生まれの世代で1回も1軍に上がっていないのが僕だけだった」。その席でシーズンを振り返る話題は、もちろん1軍の舞台の話で「話に入れない」。その時に思った。「絶対、来年は頑張ろうっていう気持ちになった」。
このオフは月に1度、チームに訪れるゴールドジムのトレーナーから学んだトレーニングを実施して、筋力も強化。巨人大勢を参考にしたフォームもハマり、これで2月の実戦も含めて計5試合登板で計7回1失点と猛アピールを続けている。
2月18日の中日との練習試合で登板した後には、初めて新庄監督からインスタグラムで「これを続けていこう」とDMが来た。その際に、悔しさを味わった食事会の話もDMで伝えていたという。それを言いたくなってしまうほど、指揮官の中では松岡の存在が大きくなっているということだ。
1月には「丸坊主で1軍のエスコンのマウンドで投げていた」という初夢を見て、髪の毛を長さ3ミリでバッサリときれいに刈り上げた。今回の1軍登板を前に、伸びていた髪の毛を再び刈り上げて臨んだ“1軍のエスコンのマウンド”での躍動。新庄監督も「ボールの勢いもあるし、変化球も曲がる場所が去年と全然違う。バッターが振りに行く手前で変化しているんで、すごくいい」と高評価した。悔しさをバネに生まれ変わった松岡による、初夢を現実にする瞬間もグッと近づける快投だった。【木下大輔】