【阪神】また快投の育成1位工藤泰成に藤川監督が賛辞「この先、一緒に戦いたいという投球」
阪神の育成ドラフト1位右腕、工藤泰成投手(23=四国IL徳島)が衝撃の甲子園デビューで、支配下昇格へ大前進した。1回を1安打で0封。実戦デビューからの連続無失点を4試合に伸ばした。
「甲子園は人生で初めて。すごくいい緊張感で投げられました。直球が高めに浮いたのは課題です。初登板で力が入ってしまったところもあるので、次からは力まず、もっと楽に投げていきたいです」
9回に登板。その初球、155キロで辻本のバットをへし折り、遊ゴロに仕留めた。ド派手なクラッシャーぶりに、場内のどよめきが止まらない。続く鵜飼は剛球で押しまくった。7球目はこの日最速の157キロ。力と力のぶつかり合いで15809人の観衆を一喜一憂させた。ラストの12球目は抜いたスライダーで空振り三振。「できれば真っすぐで抑えたいところだったんですけど」と少し悔しそうな顔も見せた。
19球のうち15球が直球。すべて150キロ超えで平均は154キロを計測した。この日は両軍10人が投げたが、速さは明らかに異質だった。プロ初実戦となった2月16日の広島戦で158キロを計測して以降、評価も注目度も上がりっ放しだ。
藤川監督も賛辞を惜しまない。「ファンの方の反応を見てもね。素晴らしいボールを投げている。みなさん(報道陣)同様にチームの仲間もびっくりしているんじゃないかな。その存在の強さに。素晴らしかったですね」と喜んだ。
阪神の支配下枠は残り4。藤川監督は開幕までに、14人いる育成選手の中から1人は昇格させたい意向を持つ。「今だけが勝負ではなくて、この先(工藤と)一緒に戦いたいという投球に見えました。今終わったばかりですから、また考えたいと思います」。指揮官は支配下昇格の候補であることを隠そうともしない。現状、最有力といっても過言ではない。
工藤も「キャンプからここまで、いい結果できていると思います」と手応え十分。127の背番号が2桁に近づいている。どこまでも突き抜けそうな魅力にあふれている。【柏原誠】
◆工藤泰成(くどう・たいせい)2001年(平13)11月19日生まれ、秋田市出身。秋田東小3年から野球を始め、能代一中3年時から本格的に投手。明桜(現ノースアジア大明桜)、東京国際大を経て、24年に四国IL徳島入団。1年目に8勝を挙げて最多勝を獲得し、同年育成ドラフト1位で阪神へ。最速159キロ。2種類のスライダー、カットボール、フォーク、カーブが持ち球。趣味は筋トレ、サウナ、登山。177センチ、82キロ。右投げ左打ち。