北川ひかる(2024年1月撮影)

女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」のDF北川ひかる(27=BKヘッケン)が4日、所属先のスウェーデンからオンライン取材に応じ、世界王者アメリカ(米国)を破って初優勝した2月のシービリーブスカップを振り返った。

デンマーク人のニールセン監督が率いて初陣となった大会ではオーストラリアに4-0、コロンビアに4-1、そして米国に2-1と3連勝。北川は左サイドバックとして2試合に出場。持ち味の攻撃力を発揮し、オーストラリア戦ではクロスボールから得点に絡んでいる。

あらためて新生なでしこのサッカーについて問われると、「メンタルの部分からしっかり勇敢に戦うっていうところで、しっかり前からプレスをかけてボールを奪いに行って、高い位置から攻撃につなげる形だったり、トランジションのところで切り替えを早くしてっていうところの変化はすごいあった。ビルドアップの面でもしっかり後ろからつないで、慌てずに日本人らしくボールを保持して前進していくという形が非常に明確になったと思っています」とよどみなく回答。チームとして、自分たちのスタイルが言語化できるほど共有されていることを示した。

しかも大会5連覇中で、苦手としてきた米国に13年ぶり2度目の勝利を挙げた。相手のメンバー構成が若手中心だったとはいえ「しっかり勝てたのは、今の自分たちのプレーを出せた証拠かなと思っています」。チームはもちろん、個人としても手応えをつかんでいる。

昨夏にスウェーデンに新天地を求め、プレーの幅が広がり、確実にたくましさが増している。

「海外に出て非常に良かったなと思っています。やはりフィジカル面だったり、日本では経験できなかったので。日本でプレーしている時には海外の相手と対戦すると、やっぱり慣れていない部分があったり、そういう難しさを感じていました。このヘッケンという場所でプレーすることで、自分自身慣れてきたところもあって、試合の入り方も含めて余裕を持てるようになったと感じています」

強度が上がったことで、持ち前の技術がより発揮でき、精神的にも余裕を持てているのが好プレーにつながっているようだ。それは北川だけに限らず、チーム全体に言えることだろう。

そして4バックを採用するチームにあって、北川らサイドバックが高い位置を取ってプレーする。これにより長谷川唯を中心とした中盤の3枚を使った攻撃の連係が高まり、ウイングを絡めた流動性豊かなパスサッカーが展開されている。

「個人的にも数年前にサイドバックをやっていた時よりも成長しているという実感もあります。オリンピック後から4バックになったところで、立ち位置も含め変わってきた」

そこへ所属するスウェーデンサッカーのスタイルが、北川が課題としていたフィジカルや強度の面を押し上げてくれているようだ。

「かなりヘッケンで運動量もあって、日本のサッカーとは違って、トランジションが激しすぎてボールを回す時間が少ないというシンプルなサッカーっていうところもあるので、かなり運動量的には上がっている。それがいい意味で余裕を持って、体力的にやれているのかなっていう。日本から改善しながらやってきた結果が今出ている」

そう言って、充実感をにじませた。

次戦は4月6日のコロンビア代表との親善試合(大阪・ヨドコウ桜スタジアム)。「継続してその強度をしっかり出せるような強さっていうところはもっと付けていかなければいけない。よりスキを与えないプレーになれるよう、今回の大会で出た課題をしっかり改善できるようにやっていきたい」と誓った。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 北川ひかる、シービリーブス杯V理由は欧州にあり「運動量が上がり余裕を持ってプレーできる」