巨人対ヤクルト 4回表ヤクルト1死一塁、右越え2点本塁打を放つ村上(撮影・たえ見朱実)

<オープン戦:巨人6-5ヤクルト>◇1日◇東京ドーム

ためたパワーを一気に解放した。ヤクルト村上宗隆内野手(25)がオープン戦1号をぶっかました。4回に巨人山崎から右翼席上段への高弾道の特大2ラン。今オフにメジャー挑戦し、日本ラストイヤーとなる主砲が、練習試合を含め実戦4戦目で“今季初本塁打”を放った。同じ巨人と、同じ東京ドームで迎える3月28日のシーズン開幕戦に向け、主砲のバットはどんどん温まっていく。

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一瞬の静寂に東京ドームが包まれた。村上は打った瞬間に両手に残る好感触で確信した。「いいポイントで打てた」。舞い上がる打球の行方を見つめながら、ゆっくり歩を進めた。白球はテレビカメラも行方を追えない高弾道で飛んでいく。すさまじい放物線に、ファンはあぜんとなった。打球が右翼席上段に到達すると、静寂が解かれ、どよめきが湧いた。

静かに待って、一振りで仕留めた。3点を追う4回1死一塁。山崎に初球101キロスローカーブ、2球目142キロフォーク、3球目も102キロのスローカーブと緩い球も交え、揺さぶられた。バットを出さず、ぐっと我慢した。カウント2-1からの4球目。真ん中、内寄りに吸い込まれてきた135キロカットボールを捉えた。オープン戦6打席目の1発に「早い段階で1本出たので少しホッとしていますけど、まだオープン戦もたくさんある。その中でもっともっといい打席をできれば」。1打席目の空振り三振から修正した。

静かな決意を前日にしたためていた。明治神宮に参拝し、絵馬に「けんこうだいいち」「にほんいち」「みんなえみふる」と祈願した。担当者が亡くなった、つば九郎が沖縄・浦添のキャンプ地で書いた絵馬と同じ文言。その理由を問われても「書いた通りです」と多くを語らなかった。

27日後の開幕で戦う相手に強烈な一撃をかました。「相手に嫌だなという印象を持たれるようにしていきたい」。静かに、心に火を宿した。【上田悠太】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ヤクルト】村上宗隆“今季初本塁打”となる特大2ラン「いいポイントで打てた」ファンあぜん