大谷翔平1号「スケジュール通り3打席立てたので、それが一番」豪快空振りも左肩に影響なし
【グレンデール(米アリゾナ州)2月28日(日本時間3月1日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(30)が、今季初実戦となったオープン戦でいきなり本塁打を放った。
古巣エンゼルス戦で、今季の開幕投手を務める菊池雄星投手(33)と対戦。「1番DH」で出場し、花巻東(岩手)の先輩から第1打席で左越えに先制弾をたたきこんだ。昨年11月に左肩を手術し、リハビリで出遅れながら待望の実戦復帰。理想とは言えないスイングにもかかわらず、2年連続リーグ本塁打王の実力を発揮した。
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まだ完全ではない。それでも、シンプルに振り抜いた打球が、高速で飛んでいった。オープン戦9試合目で、大谷の実戦復帰に沸くスタジアム。大歓声で迎えられた第1打席の6球目、菊池の外角に甘く入った速球を逃さなかった。フルカウントから意識した好球必打。打球速度107マイル(約172キロ)で左翼フェンスを越えた。初打席で早速、見せ場を作った。
「スケジュール通り3打席立てたので、それが一番。ある程度球数を見ながら、スイングもしながら、空振りも体的に問題なかったので、いい1日だった」
昨年11月に手術した左肩の影響を感じさせなかった。練習とは違い、アドレナリンが出て強度が上がる実戦。ストライクゾーンの確認はもちろん、豪快な空振りにも手応えがあった。「違和感はないですけど、1打席1打席チェックしながら、最後は特に、タイミングがちょっと遅れ気味の空振りではあるので、そこも含めて、問題なかったので良かった」。3打席目は振り遅れのフルスイングで三振したが、左肩に影響はなく、すがすがしい表情で振り返った。
前人未到の「50-50(50本塁打&50盗塁)」を達成した昨年に続き、実戦初戦で本塁打を放った。これが再び伝説の幕開けとすれば、吉兆とも思える1発。もっとも、状態は100%ではない。「外旋(の動きが)がもうちょっと出てくれば、スイング自体ももっともっとスムーズになっていく」と、理想とするバットの軌道とは微妙なズレがあった。それでも、どっしりとした構えから刀を抜くように裁いた強烈な一振りは、飛距離を生み出すのに十分な力強さだった。
3月18、19日に東京ドームで開催されるカブスとの開幕シリーズには、打者で出場予定。順調な調整ぶりにロバーツ監督は「彼がシーズンオフに手術したとは思えない。驚いている」と目を丸くした。無論、大谷は“元に戻す”のではなく、さらなる進化を求めている。「ピッチングに関してはまだ復帰してないですし、バッティングに関してもまだまだ上のアプローチができるかなと思ってるので。そこを納得できるまでやっていく」。連覇を目指す移籍2年目。壮大な挑戦へ、弾みをつけるアーチをかけた。