七十七銀行に新戦力として加わった左から石井、後藤、沖、篠塚(撮影・木村有優)

昨季届かなかった全国の舞台へ-。七十七銀行(宮城)が悔しさを糧に過去最高の全国4強を超える。今季から選手会長に小林快投手(27=仙台大)、主将に長嶋亮磨外野手(27=神奈川工科大)が就任した。大きな課題である「チーム力」を磨いて、常勝軍団を築く。さらに、ルーキーもチームに合流。沖政宗投手(立教大)、篠塚太稀投手(仙台大)、後藤佑輔投手(東北工大)、石井寛人内野手(東北福祉大=いずれも22)ら新戦力4選手も加えて挑む。

【取材・構成=木村有優】

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導かれるように東北の地に帰ってきた。磐城(福島)から東京6大学に進んだ沖。「政宗」という名前の由来は、初代仙台藩主の伊達政宗からきている。「宮城の地で活躍してほしい」という両親の思いは現実となり、宮城の地で社会人野球の門をたたいた。「地元は福島ですが、宮城も同じくらい大好きなので、東北の発展に少しでも貢献できたらと思います」と意気込んだ。

悩みに悩んで出した答えだった。就活期間は一般就職を含め、多くの選択肢から進路を模索した。そして昨年11月、野球を続ける決断をした。最大の決め手は大学野球のラストシーズンだった。1年秋から出場してきたが、4年秋はけがの影響から登板ゼロに終わった。「早いうちから経験を積ませていただいたので、4年生は自分が引っ張るつもりでしたが、最後は恩をあだで返す形になってしまいました」。磐城時代は21世紀枠で同校46年ぶりのセンバツ切符をつかんだが、新型コロナウイルスの影響で甲子園出場が奪われた。高校に続いて、またもやりきれない幕切れだった。

この思いが悩む沖の背中を押した。「不完全燃焼の気持ちがありましたし、目の前で熱くなれることがある限り、野球を続けたいと思いました」。さらに、一般就職活動も行う中で野球ができる喜びや環境への感謝を再認識。入部の返答を待つ七十七銀行野球部に連絡を入れた。「ギリギリまで待ってくださったチームには感謝しかありません。この気持ちを結果として残して、恩返しをしたいです」と口にした。

今季のテーマは責任感と感謝だ。学生野球との大きな違いは給料が発生すること。「お金をいただいて好きなことをする環境になるので、自分の行動に責任を持って、ここで大好きな野球ができるという感謝の気持ちを忘れずに過ごしたいと思います」と覚悟を語った。数々の思いを結果で示すつもりだ。

◆七十七銀行野球部 1981年(昭56)創部。運営母体は宮城県仙台市に本店を置く地方銀行。出身プロ野球選手は小林敦(元ロッテ)、相原和友(元楽天)。01年に日本選手権大会、03年に都市対抗野球大会に初出場(いずれも初戦敗退)。出場回数は都市対抗野球大会14度、日本選手権大会9度。最高成績は04年都市対抗野球大会ベスト4。杉森智幸監督。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【七十七銀行】導かれるように東北へ…沖政宗の覚悟「東北の発展に貢献」過去最高の全国4強超えへ