ロバーツ監督「Bow tie!」山本由伸、ブッチ切りブルペン 米球界特有の言い回しの意味は…
【グレンデール(米アリゾナ州)24日(日本時間25日)=四竈衛】メジャー2年目で開幕投手を務めるドジャース山本由伸投手(26)が、あらためてブッチ切りの快調な仕上がりをアピールした。
ブルペン投球でデーブ・ロバーツ監督(52)ら首脳陣の前で全球種を計42球。オープン戦2試合目となる26日(日本時間27日)の敵地ブルワーズ戦を前に、威力&迫力十分の投球を披露した。
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小気味よく捕手バーンズのミットを鳴らし続ける山本の剛球に、いつの間にか、周囲の誰もがくぎ付けになっていた。右打席に立ったスタッフに対し、山本は捕手が構えた内角高めを、鋭く吹き上がるようなツーシームでえぐった。あまりの球威とキレに、打席のスタッフがのけぞった瞬間、後方から熱視線を送っていたロバーツ監督が突然、大声で叫んだ。
「Ya Hah(ヤァハァ)! Bow tie(ボウタイ)!」。
「Bow tie」は直訳すると「ちょうネクタイ」。米球界特有の言い回しで、打者のアゴの下をえぐる球で、ほぼ同じ位置に着ける「ちょうネクタイ」に例えて表現される。山本が日本での開幕戦で対戦するカブス鈴木や、ワールドシリーズでも対戦したヤンキースの主砲ジャッジら右打ちの強打者をイメージしていたかは定かではない。ただ、目的意識の高い山本のブルペン投球に、開幕投手の大役を託した同監督がご機嫌だったのも当然だった。
メジャー移籍後、山本の投球スタイルは、高めの直球と落差の大きいフォークを主体とする「高低」が基本とされてきた。その一方で、オープン戦初登板となった20日のカブス戦では、随所にカットボールを織り交ぜ、151キロの高速球で空振りを奪った。高めへ切れ込むツーシームとカットボールは「内外」であり、高さ次第では対角線となる。いずれも新球ではないとはいえ、キャンプの段階で丹念に磨きをかけていることからも、新たな引き出しとなる可能性は高い。
26日の登板2試合目を含め、同地でのオープン戦登板は残り3試合。ロバーツ監督だけでなく、周囲が期待する「ローテの軸」は、投球を重ねるたびにたくましさを身に付けてきた。