市原吏音(2025年1月撮影)

28年のロサンゼルスオリンピック(五輪)世代となるU-20(20歳以下)日本代表の主将でDF市原吏音(19=大宮アルディージャ)が、4大会連続のU-20ワールドカップ(W杯)切符を手にして一夜明けた24日、オンライン取材に応じPK戦の秘話を明かした。

U-20日本代表は、U-20アジア杯中国大会の準々決勝でイランと対戦。1-1で延長を含め120分の死闘でも決着が付かず、勝負はPK戦へ。勝てばW杯切符、負ければ出場権を逃す大一番で、PK戦を制していた。

市原はコイントスで2度勝ち、キックを蹴るゴールと、後攻を選択した。PK戦はデータ上では先攻の勝率が高いと言われている。

市原は「僕の独断なんですけど。コイントスの後、みんなに(後攻と)言いに行ったら、みんなが“えっ?”みたいな顔をしていた。自分はPKが先攻有利とあまり知らなくて…。普通に後攻有利と思っていて後攻を選んだ」と明かした。

「あとは、何でか分からないんですけど、コイントスをやって、自分が勝ったときに、シナリオが頭に浮かんできて。5人で終わるな、最後、5番目の自分が蹴って終わるんだろうなと感じていた。それで迷わず選んじゃいました」。

代表チームでもPK練習を重ねてきた。イラン戦の前日も、PK合戦の緊張感をつくった中で蹴っていたという。市原は1次リーグのタイ戦で、試合の中でPKキッカーを務めており右に蹴っていた。「スカウティング(分析)されてるかなと思ったので。ギリギリまで迷った。5番目で相手のGKがすぐ飛ぶのは分かっていて、右蹴ったら止められると思って、真ん中に」。コイントスで描いたシナリオ通り、5番目のキッカーでW杯切符を引き寄せた。

緊張の中、人生で最高にしびれた瞬間かと思いきや、当の本人は「試合中もイケイケだったし、PKも練習していたので。心配していなかった」とケロリ。さらには「ぶっちゃけた話、南雄太さんの引退試合でのPK戦の方が緊張しました。レジェンドの方々に見られた中でのPKだったので。それと比べたら楽に蹴ることができた」。

昨年12月、南雄太氏のNACK5スタジアム大宮での引退試合はFWカズ、中村俊輔氏、小野伸二氏、遠藤保仁氏、中村憲剛氏らレジェンドがズラリ…。南さんの引退試合でのPK戦も、しっかり次世代を担う若者の経験になっていたようだ。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【U20日本代表】主将のDF市原吏音がPK戦秘話「南雄太さん引退試合のPKの方が緊張した」