先発した久保建英(AP)

<欧州リーグ:Rソシエダード5-2ミッティラント>◇20日(日本時間21日)◇決勝トーナメント・プレーオフ第2戦◇レアレ・アレーナ

【サンセバスチャン(スペイン)=佐藤成、高橋智行通信員】日本代表MF久保建英(23)が所属するレアル・ソシエダード(スペイン)がミッティラント(デンマーク)に5-2で圧勝し、2戦合計7-3として16強入りした。右サイドで先発した久保は、後半22分までプレーし、決勝点の起点になるなど存在感を発揮した。抽選の結果、決勝トーナメント1回戦はマンチェスターU(イングランド)と対戦。毎熊晟矢のAZ(オランダ)はトットナム(イングランド)とあたる。

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“大人の久保”がその左足で16強進出を呼び込んだ。2-2の前半終了間際、左CKのキッカーとして鋭いボールを供給すると、相手のクリアが中途半端となり、MFスチッチがゴール。2点リードを追いつかれる嫌な空気を振り払う決勝点の起点となった。

数字には残らない活躍が目立った。試合開始直後のファーストプレーで絶妙なスルーパスを通し、MFバレネチアの決定機を演出すると、同7分にも右CKから絶好機を生み出した。決勝点直前にもペナルティーエリア内で相手2人を引きつけてマイナス気味のクロスを供給してチャンスに結びつけた。守備でも相手のサイドバックをケアして後方までのプレスバックを怠らなかった。後半22分の交代時には、観客から大きな拍手が送られた。

第1戦ではスーパーミドルをたたき込んだ背番号14。「ここから得点を積み重ねていければ」と話していたが、この日は強引なドリブルやシュートに走ることなかった。冷静に状況を見極め、そのプレー選択がチームにリズムを生んだ。地元紙も「今回ゴールにつながるプレーで主役を演じたのは久保ではなくチームメートだった」としつつ、味方を生かしたプレーを評価。及第点の3点(最高5点)をつけた。

主役にもなれて、周りの引き立て役にも回る。それが久保の久保たるゆえんだ。勝利のために必要なことを瞬時に判断し、ピッチ上で表現。高いサッカーIQでチームに欠かせない存在であることを証明した。

久保の人気はスペイン有数のリゾート地、サンセバスチャンでも根強かった。市街地の公式ショップでは4選手のみ販売されているネーム入りユニホームの特設コーナーに「Take」の名前が。店員は「(エースでスペイン代表の)オヤルサバルとともにタケのユニホームは1、2を争う人気です。チームの顔ですね」。ゴールパフォーマンスの久保の姿がプリントされたTシャツも特別に売り出されていた。

長年チームを取材する地元メディアからも高い評価を受ける。ラジオ局「オンダ・セロ」でクラブの番記者と実況を務めるイニゴ・タベルナさんは「仲間との連係もできるし、ゴールも奪える。本当にぜいたくな選手だ。サポーターからも愛されている」とうなずいた。久保の存在を「勝つための手段」と表現し、「ピッチにいる、いないがチームの勝敗に関わる」と褒めちぎった。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 久保建英“大人なプレー”でCKからV弾供給、Rソシエダード16強 決勝T初戦でマンUと対戦