18日、ライブBPで力投する阪神ゲラ(撮影・前田充)

<潜入>

さらなるジャパニーズドリームで「二刀流」を極める。阪神ハビー・ゲラ投手(29)が本業の野球とともに取り組む「二足のわらじ」に潜入した。昨年オフに帰国した際から、母国パナマでコーヒー栽培を開始。1000本の木が植えられるほどの農園を構える。沖縄キャンプ中には現地の「中山コーヒー園」も見学した。野球とコーヒー栽培の「二刀流」。虎の頼れる助っ人右腕の野望に迫った。【取材・構成=波部俊之介】

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沖縄キャンプ中、あるオフの1日。ゲラは人知れず、現地のコーヒー農園にいた。約30分ほど農園を見学し、その後は自ら焙煎(ばいせん)工程も体験。できあがった手作りコーヒーを口にすると「これこれ!」と笑顔でサムズアップポーズを作った。

「農園はナチュラルで、すごくきれいだった。自然がすごくあって、いいところだという感じだったね」

昨年オフから、母国パナマでのコーヒー栽培を独学で開始。1000本の木が植えられる規模の農園を構えた。体が資本となる野球選手。年齢とも向き合い、いつまでも現役でいられるわけではない。大好きなコーヒーのビジネスに着手したのは、第2の人生を考えたことも大きかった。

「自分がいつ引退するかは分からないけど、野球を辞めた時にそういうこともできればな、というのも思いながらだね」

ゲラが実際に育てる品種は「ゲイシャ」というもの。世界的にも高品質でバリスタの世界大会で使われることもあるそうだ。今回、体験を案内した名護市にある中山コーヒー園の福島令士さん(31)は「パナマゲイシャがおそらくゲイシャの中でもトップなんじゃないですかね」と語る。標高の高さや雨量の少なさという点で、パナマはコーヒー栽培にもうってつけの環境。来日1年目の昨季は岩崎とともにダブルストッパーとして勝利の方程式を担った。最速164キロの速球を武器に、刻んだ数字は登板50試合で1勝4敗、31ホールド、14セーブ、防御率1・55。2年目の今季も必勝パターンの重責を期待される。どの分野でも狙うはトップクラスだ。

気温や雨量、育て方など非常に繊細な作業が必要な農業。木とデリケートに向き合い続ける必要がある中で、野球同様に熱量を持って向き合う意気込みだ。

「なんでも一緒だけど、情熱を持って。毎日だったり毎週だったり毎月だったり、かなり時間をかけて見ないといけない。見ていく中で、そういう情熱をいつも忘れない。そういう意味では新しいことを覚えている感じはあるね」

野球と農業の二刀流に磨きをかける来日2年目。コーヒー農園経営という経験を、マウンドにもつなげていく。

◆今キャンプのゲラ 来日2年目の今キャンプは2日目に宜野座でブルペン投球を開始させた。昨季から習得を目指すフォークを試投。直球とスライダー主体の投球からの脱皮も計画する。第3クールのブルペンでは、現役時代にフォークを操った藤川監督と話し込む場面もあった。第4クール最終日の18日には実戦形式のライブBPで井坪、高寺に20球を投げ安打性ゼロと順調な仕上がりを見せた。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】パナマ出身ゲラ「情熱持って」野球とコーヒー「二刀流」母国に農園構えキャンプ中も見学