【岡山】開幕戦でJ1昇格初勝利 一般チケット5分で完売 マイナスのスタートから着実に成長
<明治安田J1:岡山2-0京都>◇15日◇第1節◇JFEス
J1初参戦の岡山が開幕戦で京都を撃破し、歴史的1勝をつかみ取った。前半23分にCKからDF田上大地(31)が決めて先制。同36分には6本のワンタッチパスをつないで、最後はFW木村太哉(26)がGKの股を抜くシュートで追加点を挙げた。守っても強力攻撃陣を誇る京都を完封。晴れの国のクラブが最高の形で初陣を飾り、鮮烈なJ1デビューを飾った。
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岡山がJ1の舞台でも、積み上げてきた力が通用することを証明した。
序盤は京都に押し込まれる展開となったが、体を張った守備とシンプルな攻撃で反撃の機会をうかがうと、セットプレーのチャンスを逃さず先制。華麗なパス回しから追加点も決めた。浮き球のパスで2点目につなげたFW江坂は「前線で優位性もあったし、自分のところでも相手の背後が取れた。狙い通りやれた」。
「J1ではほぼ全てのチームが自分たちより格上。だからこそ自分たちの形を身に付けた中でパンチを打って出ていこう」。試合前、奮起を促した木山監督の言葉を胸に、選手はたくましく戦った。昨季までのベースに、FWルカオの圧倒的な迫力やFW江坂の技術力という武器を融合したサッカー。監督は「強みを出せばやれるのは確認できた。崩れず、ぶれずに自分たちのプレーをやっていけば何とか生きていける」と確かな自信を得た。
J1初勝利は、苦しみながらも成長してきたクラブの力がもたらした。木村正明オーナー(56)が06年に社長就任した際には、営業すらまともにできなかった。当時はライブドア事件などで、IT長者や投資ファンドが批判の的になっていた時期。「ゴールドマン・サックス出身というだけで怪しく思われたのか、アポすら取れなかった」。マイナスからのスタートとも言える状況だったが、そこから着実に積み上げて規模を拡大。営業収益は24年に20億円を突破し、25年は約30億円を見込むまでになった。当時は指で数えられる人数だったサポーターも徐々に増え、J1昇格で一気に増加。6500枚のシーズンパスが初めて完売。開幕戦の一般販売チケットも5分で売り切れる盛況ぶりで、スタジアムに1万4575人が詰めかけた。
勝利の瞬間、集まった観客は総立ちで拍手。「この街と挑む。」をキャッチフレーズに戦うチームが、明るい未来を予感させる勝利で人々の心をつかんだ。【永田淳】
◆ファジアーノ岡山 2004年(平16)設立。母体は、川崎製鉄水島製作所サッカー部OBが1975年(昭50)に結成したリバーフリーキッカーズ。08年にJFL昇格。09年にJ加盟。09~24年まで16季はJ2。24年にJ2で5位になり昇格POを勝ち抜いてJ1へ。チーム名はイタリア語で「キジ」。桃太郎の鬼退治で活躍したことにちなみ命名。ホームはJFE晴れの国スタジアム。ホームタウンは岡山県/岡山市、倉敷市、津山市を中心とする全県。木山隆之監督。