【C大阪】“イケオジ”パパス監督14日大阪ダービーでJ1指揮デビュー 45歳誕生日祝いなるか
セレッソ大阪のオーストラリア人、アーサー・パパス新監督(44)のJ1指揮デビューが14日に迫った。
金曜日夜に敵地に乗り込むガンバ大阪戦は、全カードの先陣を切って行われる開幕戦になる。
「家族(チーム)がある中で、私ができることを精いっぱいやり、味方同士で支え合い、主張し合い、しっかり成長してほしい」
19年に横浜Fマリノスのコーチに就任し、ポステコグルー監督の下でリーグ優勝。これまで母国やタイ、J3鹿児島なども率いたが、自身が指揮する中で今回の舞台が最もレベルは高い。
ハイライン、ハイプレスを掲げ、フィールド選手全員が得点を狙う攻撃的なサッカーを目指す。昨季のように全43得点のうち、FWレオ・セアラ(現鹿島)が半数近い21得点を稼いだものの、他の選手は威圧感を示せなかった。
「1人の選手に頼って、攻撃をするチームを目指してはいない。誰がボックス内に入って、点を決めてもいい。サイドバック、ウイング、ボランチ…個人ではなく集団として闘えるチームにしたい」
レオ・セアラにボールを集めすぎて、チームの得点パターンが少なかった。C大阪に必要なのは、攻撃スタイルの解体的出直しだった。新たに獲得したブラジル人のラファエル・ハットン、チアゴ・アンドラーデのブラジル人FW2人の実力は未知数だが、1人に頼らないチーム作りは進む。
今季始動前までは、パパス体制への不安がクラブ内外でささやかれていた。パリオリンピック(五輪)代表大岩剛監督に就任要請を断られたために生まれた政権であり、オフの補強は近年では最も地味だったからだ。
ただ、現時点ではあるが、選手のパパス評はかなり高い。表現がストレートで指針にぶれがないという。選手の序列も一部で大きく変わり、新体制ならではの緊張感がある。
のどの乾燥を嫌うパパス監督は、水やコーヒーが入った紙コップを片手に練習を指揮することがある。髪形も決まっており、これまでの記事で“イケオジ(いけてるオジさん)”と紹介したこともある。一部SNSでもそう評されている。
先日、石川和幸通訳が「ベリークール・ジェントルマン」という英訳で、イケオジのことを指揮官に伝えてくれた。すると「ハッハッハ…その言葉は初めて聞いた。そういうふうに呼んでくれるなら、うれしい」と、ユーモアに満ちた表情になった。
昨季10位のC大阪が上位に再浮上できるか。優勝できるほどの選手層は明らかにないが、パパス・サッカーがはまれば、上位争いは可能だろう。逆の目が出れば残留争いに加わる危険性もある。開幕直前の12日に45歳の誕生日を迎える“イケオジ”監督に率いられ、新生セレッソの1年が始まる。【横田和幸】