神戸対広島 前半、ボールカットに向かう神戸斉藤(右)(撮影・江口和貴)

<富士フイルムスーパーカップ:神戸0-2広島>◇8日◇国立競技場

ヴィッセル神戸のMF斉藤未月(26)が、539日ぶりに公式戦のピッチに戻ってきた。

この試合で先発として約1年半ぶりの出場を果たすと、持ち前のボール奪取や攻撃に絡んでいくプレーも披露。対人プレーにも積極的に関わり、ハードなプレーもいとわなかった。

久しぶりの公式戦を終えた斉藤は「90分プレーできたことはすごくうれしい」と復帰の喜びを語った。

23年8月の柏レイソル戦でタックルを受けた斉藤は、左ひざの関節脱臼、複合靱帯(じんたい)損傷、内外側半月板損傷と複数箇所を損傷。23年8月と同11月に手術を受け、その後はリハビリを継続。昨季終盤に全体練習に合流し、沖縄キャンプの練習試合で対外試合に復帰していた。

これまでの練習などでは「まだ足が出ないところがある」と話していた斉藤だが、この日は「思っていた以上にと言ったら変だけど、練習試合も含めて一番良かった」と本来のパフォーマンスに近づいている感覚もあったという。

しかし神戸らしさが出せないまま、サンフレッチェ広島に敗れたことには厳しい目を向けた。「ピッチに立つ以上結果を残さないといけない。チームを勝たせるプレーをしてこその価値。その意味では全く足りないゲームだった」。あくまで結果に貢献することが必要だったと反省した。

自身を支えてくれた周囲には、感謝の気持ちを強く持つ。チームメートやスタッフ、サポーターへ感謝すると同時に、両親や妻からの多大なサポートがこの日の1歩につながったという。

「自分に近い人がああいうけがをしたらどういう気持ちになるかっていうのは難しいところだけど、本当に支えられたし、そういう妻や両親がいなかったら乗り越えられなかったのは間違いない。引退も考えたぐらいになっていたと思う。ただ、自分のことを思って涙してくれる近い人がいたからこそ、やるべきことが自分にあるなと感じた。サッカーができる幸せを本当にかみしめたし、次は自分がそのサッカーで周りの人々を笑顔にしたり、幸せにしたい。その気持ちが今日あらためて強くなった」。5万3343人が見守る中で復帰した斉藤は、これまで以上にその思いを強くした。

目を覆いたくなるような大けがからピッチに戻るまでになった斉藤だが、ここが目標や目的ではない。ピッチから離れている間も、自身の考えやイメージは変化しているといい「リンクさせていったら、いいプレーが増えていく感じは今日もあった。もっと自分の良さを出せる状態に持っていくトレーニングができれば、確実にチームになるんじゃないか。それを得られたのは大きい」と手応えも口にした。まだまだここは通過点。よりピッチで輝く姿を見せるため、斉藤はさらに加速する。【永田淳】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【神戸】MF斉藤未月が539日ぶり公式戦復帰「90分プレーできたことはすごくうれしい」