自主トレを公開し、標高3000メートル級の低酸素の状態でトレーニングを行うDeNA山崎(撮影・小早川宗一郎)

<潜入>

「チームYASUAKI」が限界突破する。DeNA山崎康晃投手(32)が21日、横浜市内で自主トレを公開。ブルペン投球に加え、チームのスローガンに「オレタチは止まらない」の言葉通り、常圧低酸素トレーニング機器「HS-6000」を使った低酸素状態でのサーキットトレーニングで体を徹底的に追い込んだ。記者も同トレーニングを体験し、キツさを肌で体感した。また後輩の堀岡隼人投手(26)、宮城滝太投手(24)、松本凌人投手(23)や元同僚のオイシックス三上朋也投手(35)らも参加した。

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「酸素が…!」。山崎の懸命な叫びが響く。ガスマスクのような大きなマスクで顔を覆う。酸素濃度は標高3000メートル、富士山の8合目付近と同程度。あえて厳しい環境に身を置き「苦しい時こそ前に出るという意味で、非常に効果的」と効率的に負荷を高めた。

カメラマン兼務のため、選手の表情を収めようとレンズをのぞいているときだった。「報道陣の方もぜひ」。山崎の提案で、記者自身が低酸素トレーニングを体験する機会に恵まれた。

マスクを装着し、山崎と隣り合っていざ挑戦。腹筋やスクワット、ジャンプなど8種目をサーキット方式で回した。1種目20秒でインターバルはわずか10秒。時間とともに呼吸は荒くなり、心肺が苦しくなった。

吸っても吸っても酸素が薄い。なんとかやり切ったが、その場であおむけに倒れ込んだ。正月太りと運動不足の26歳が、限界突破できるわけもなかった。選手たちのように何セットもこなすのは無理だ。山崎が報道陣に差し入れしてくれた高級焼き肉店「叙々苑」の焼き肉弁当セットのおいしさで回復するまで、しばらく頭がボーッとしていた。

そんなトレーニングを、山崎は3年前から本格的に自主トレに取り入れた。1台約70万円の機械を自宅にも導入。高さ3776メートルの富士山を上回る標高4000メートル程度に設定して、長距離ランで活用する。今年はすでに6キロの減量に成功。競走馬などにも使われており、心肺機能、持久力の向上やトレーニング効果の倍増が期待できるという。

自ら選んだ「オレタチは止まらない」を合言葉に、山崎はさらに追い込んでいった。「低酸素よりシーズン後半の方がよっぽど苦しい。自分自身の限界を超えていくことで周りの示しになる。まず自分がやらないと」。姿勢を示して後輩たち、ひいてはチーム全体を俯瞰(ふかん)する。「後輩の突き上げもありますし、先輩との激しい競争もある。先頭をひた走っていけるように」と誓いを込めた。プロ11年目。たっぷり酸素を吸い込んで、限界を突破する。【小早川宗一郎】

◆山崎の過去の自主トレ これまで1月の自主トレは、三浦監督の現役時代から続く「チーム厚木」の一員として行ってきた。昨年は三嶋、伊勢、入江らと参加し、“山登りトレ”は毎年恒例イベントだったが、今年から解散。本格的に「チームYASUAKI」を立ち上げ、沖縄と横浜市内でトレーニングしており「三浦さんに教えてもらったノウハウだったり、いろいろな人たちに支えられながらやらせてもらってます」と感謝を口にした。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【潜入】DeNA山崎康晃低酸素トレは富士山8号目と同じ「苦しい時こそ前に」先頭走り限界突破だ