沖縄自主トレを打ち上げた左から末包、鈴木、堂林、高木、手前は内田(写真は選手提供)

カブス鈴木誠也外野手(30)が19日、沖縄県内での自主トレを打ち上げた。米大リーグ3年目の昨季は、日本人右打者としては初の2年連続20本塁打を記録。着実な進化を見せた中、昨季終了後に着手したのは打撃改造だった。昨年末までは都内を拠点にトレーニングを行い、今月5日から同地で振り込んだ。来月早々に渡米し、新打法の精度を高めていく。今季開幕は3月19日、東京ドーム。大谷、山本、そしてロッテからポスティング移籍した佐々木も加わるドジャースが相手だ。

   ◇   ◇   ◇

鈴木が主体の合同自主トレは“自主性”に重きが置かれた日々だった。屋内練習場での打撃練習では、5選手がそれぞれ1人でティー打撃やトス打撃などで黙々とバットを振る。合同自主トレでは“○○塾”などと、主体となる選手が参加選手に技術指導する姿が定番だが、簡単な言葉のやりとりはあっても打撃論を交わす機会はほとんどない。

「今年は自主性を求めていました。プロの世界は誰が助けてくれるかなんて、分からない。己と戦って、己に勝っていかないといけない。誰も助けてくれない世界。どの世界もそうですけど、結局、自分で考えられる能力がないとやっていけない」。

もちろんヒントは与える。唯一捕手で参加の高木は打撃練習代わりにロングティーで外野ノックすることも多かった。最初は“ノッカー”に徹したような打球だった。「何事も打撃に落とし込みたい、野球に落とし込みたいと思えているかと言ったら、そういう姿勢は見えなかった。バットの角度、スイング軌道、球がどこに当たったらどう飛ぶのか、意識ひとつで打球の質は変わるはず。極端に言えばシャワー浴びているときや階段の上り下りでも、意識ひとつで野球につなげられる」。合同自主トレ最終クール、高木のロングティーでの打球の質は確実に変わっていた。

9時から始まる合同自主トレの最後は笑顔で終わる。16時過ぎからそれぞれの課題練習を終えた選手たちが全員参加して「プワボール野球」をプレー。変化球がよく曲がるプラスチックボールで、サポートしてくれたスタッフを含め、メジャーリーガー、プロ野球選手が真剣勝負。爆笑とガッツポーズの応戦で1日を締めくくられるのも、鈴木らしさが感じられた。【前原淳】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 鈴木誠也の合同トレは“自主性”に重き置く「誰も助けてくれない世界」打撃論交わす機会ほぼなし