【潜入】カブス鈴木誠也、沖縄自主トレ打ち上げ「おもしろくない」新打法でメジャー4年目に挑む
<潜入>
カブス鈴木誠也外野手(30)が19日、沖縄県内での自主トレを打ち上げた。米大リーグ3年目の昨季は、日本人右打者としては初の2年連続20本塁打を記録。着実な進化を見せた中、昨季終了後に着手したのは打撃改造だった。昨年末までは都内を拠点にトレーニングを行い、今月5日から同地で振り込んだ。来月早々に渡米し、新打法の精度を高めていく。今季開幕は3月19日、東京ドーム。大谷、山本、そしてロッテからポスティング移籍した佐々木も加わるドジャースが相手だ。
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屋内練習場で始まった打撃練習は、あご下の高さに設定した置きティーから始まる。鈴木は短いバットを左手に握ると、左肘を上げながら白球をたたいた。球の高さはそのままに短いバットを右手に握りかえ、右肘を右脇下にぶつけるようなスイングを確認。肩のラインに平行するような軌道を描くスイングに、昨季までにない打撃の形の原型が見えた。
鈴木 “手で打ちたくない”というだけ。手じゃなく、胴体で打てるように。そうすれば呼び込むこともできる。手で打つとどうしてもポイントが前になってしまう。前で捉えるのは最高なんですけど、そうならないのが野球。最悪のポイントでも捉えられる体勢というのが一番いい。
米大リーグで3年過ごした。2年連続打率2割8分をクリアし、2年連続20本塁打は日本人右打者で史上初。1年目から右肩上がりのOPSは昨季・848でナ・リーグ8位の成績だった。周囲の評価を上げる安定感も、本人の中では停滞感に似た葛藤があった。「何か変えないと変わらない。今のままでも同じくらいは打てると思うんですけど、おもしろくない」。出した答えが、2年連続20発打法からの脱却だった。
たとえば冒頭のティー打撃を行う選手の1人でもあるベッツ(ドジャース)は体のサイズが鈴木よりも小さい。それでもシーズン30本塁打を4度、記録したことがある。「向こうは球が速いので、ポイントを前にすると変化球を振ってしまう。より呼び込めて、近いところでしっかり強いところで打てる打者が僕が向こうで見ている限りではいい打撃をしている」。まだ試運転段階とはいえ、屋外のフリー打撃ではさく越えを放つなど何度も大きな放物線を描いていた。
今後もしばらく国内で過ごし、2月頭には渡米する予定だ。スプリングキャンプで実戦が始まれば、新打法の精度はより高まっていく。「理想に近づければ、おのずと結果になると思う。ダメだったら近づけなかっただけの話」。具体的な数字の目標は、今年も口にしない。今年も変わらずに1歩1歩、理想の打撃を追い求めていく。【前原淳】