【阪神】梅野隆太郎2年ぶり開幕マスクへ「そりゃそうでしょ」信頼の証し、セ初2年連続捕逸0も
阪神梅野隆太郎捕手(33)が2年ぶりの開幕マスクを奪い返す。19日、「バイトするならエントリー宜野座スタジアム」で、日本ハム清水優心捕手(28)との自主トレを公開。昨季は坂本誠志郎捕手(31)に譲った開幕スタメン。23年まで7年連続で守ってきた定位置奪還に気合十分だ。武器のブロッキングでセ・リーグ初の2年連続捕逸0に臨む今季。チーム野手最年長が扇の要としてV奪回に力を尽くす。
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梅野は間髪入れず、キッパリ言った。「そりゃそうでしょ」。報道陣から受けた開幕マスクに関する質問だ。23年まで7年連続で守った定位置は昨季、坂本に譲った。2年ぶり奪還がかかる今季。練習後、沖縄の子どもたちを前に行ったトークショーでも「(シーズンの)最初からしっかり活躍できるように頑張ります」と3月28日の開幕広島戦への意欲を隠さず、正捕手へのこだわりを明かした。
プロ12年目。沖縄・宜野座で行う自主トレは節目の10年を迎えた。今年は日本ハム清水優捕手と2人態勢。複数名で行ってきた例年に比べ、より自身のスキルアップに意識を向けた練習に励んでいる。「今が一番体的にもしんどい。キャンプになってまた違う張り感は出るけど、今のうちに体を張らしたいところ。順調にきていると思う」。
捕手はリードや盗塁阻止、ブロック技術など多彩な能力が求められるポジション。その中で特に大切にしてきた意識がある。
「ワンバウンドを止めて当たり前と思われる世界。当たり前を当たり前にするのが一番難しい。そこは例年通りしっかりやりたい」
信条を表すデータが捕逸数だ。昨季は規定守備到達年(チーム試合数×2分の1)で2度目の捕逸ゼロ。今季も達成すれば長いプロ野球の歴史でもセ界初の快挙になる。高いブロッキング能力で投手の暴投を何度も止める離れ業。サイン間違いも含め「隙がないように」とキャンプから投手陣と会話を重ねる。厚い投手陣からの信頼をさらに厚くする意気込みだ。
「勝ちを呼び込むような一打を打ちたい」。打撃は昨年打率2割9厘、15打点、8年ぶり本塁打なしと苦しんだ。今季は表面加工で打感が良くなるとされる「牛骨バット」を導入予定。この日は硬さが異なる2種類のバットで打感を試した。「例年使っていたものより少し硬い感覚がいいですね」。キャンプでは牛骨バットへのなじみを深める。
先乗りした阪神キャンプ地で攻守ともに充実の日々。この日は二塁送球やロングティーなどで汗を流した。「とにかく数字を残せるように頑張りたい」。正捕手争いは今年も坂本との2強対決が続く。チーム野手最年長が2月の実戦から結果にこだわり、藤川阪神を引っ張る。【波部俊之介】
◆シーズン捕逸0 規定試合数となる年間全試合の半数以上に捕手として出場しての、2年連続捕逸0は2リーグ分立後過去3人。すべてパの捕手で、板倉正男(53年大映、54年高橋)、吉鶴憲治(97~98年ロッテ)、山崎勝己(10~11年ソフトバンク)。梅野は14、24年と捕逸0を2度記録。板倉は50年、山崎は07年にも捕逸がなく、梅野が今季3度目なら球界3人目で、セでは初となる。
◆牛骨バット バットを牛骨でしごくと、骨の成分によって表面を硬くすることや木目を埋めることができる。反発係数は変わらないが、打感も硬めになるとされる。米大リーグでは一般的な加工方法。NPBでは禁止されていたが、今季から解禁される
○…梅野が10年目となった宜野座での自主トレ開催を感謝した。16年に能見のもとでスタートし、キャンプへの体作りをサポートしてもらってきた。この日は練習後、隣接する宜野座ドーム内でトークショーを開催。地元の子どもたちを中心に約150人が集まり、質問会やプレゼントの当たるじゃんけん大会などで交流を深めた。「自分が1回目に来た時から10年間変わらず、こういう形でやらせてもらっているのは、本当にありがたい。恩返しできてよかった」と笑顔だった。