【高校サッカー】前橋育英・山田耕介監督「やってくれる、ずっと心の中で叫んでた」激闘PK戦制す
<全国高校サッカー選手権:前橋育英1-1(9 PK 8)流通経大柏>◇13日◇決勝◇国立
前橋育英が7大会ぶりの優勝旗を群馬に持ち帰る。決勝で史上最多10人目までもつれたPKの末、流通経大柏(千葉)を1-1(PK9-8)で破って2度目の頂点。1点を追う前半31分に同点弾を決めたMF柴野快仁(2年)が、PK戦の最後もネットを揺らすVキッカーとなって決着をつけた。7年前のファイナルと同じ相手とは今季、世代最高峰の高円宮杯U-18プレミアリーグで1勝1敗。高水準の争いを制し、日本一の回数を示すユニホームの星の数を4に増やした。
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歴史に残る名勝負を前橋育英がものにした。球際と球際、意地と意地のぶつかり合い。延長も含めた110分間で両者譲らず、勝負は決勝史上4度目となるPK戦に突入した。7人目まで全員成功。緊迫した展開でGK藤原優希(3年)が8人目と10人目をストップした。くしくも17年度の決勝と同一カード。当時は後半追加タイムに決勝点をもぎ取る1-0で初優勝を飾った。リベンジに燃えた相手を大激闘の末に退け、新国立では初、象徴のタイガージャージーでも初となる歓喜を、再現してみせた。
1983年(昭58)あかぎ国体に向けて着任した山田耕介監督(65)も、この日だけは笑顔を見せた。就任43年目。選手権で4強4度、準優勝2度。優勝は1度だけで、圧倒的に教え子の涙を見てきた。それだけに「良かったです。(PK戦の最中に天を仰いだが)最後まで信じて、やってくれるって、ずっと心の中で叫んでました」と喜んだ。
前半31分に絶妙ターンから同点弾をアシストしたMF黒沢佑晟(3年)は、藤岡市の出身。同じ自治体で育ったDF松田陸(J2千葉)に憧れた。「7年前、地元から日本一になった先輩。自分もそういう選手になりたいと思ってやってきて、もう1回を成し遂げられて、すごくうれしい」。2度目の優勝旗を手に県民に恩返しする。【佐藤成】