就任会見で笑顔を見せる新潟の樹森新監督(撮影・小林忠)

J1に新たな風を吹かせる-。アルビレックス新潟の樹森大介新監督(47)の就任会見が26日、ホームのデンカSで行われた。J2水戸ホーリーホックなどでプレーした現役時代を含め、自身初となるJ1の舞台で、プロの監督業をスタートさせる。アルベル氏(56)、松橋力蔵前監督(56)が築いたポゼッションスタイルを継承、ブラッシュアップさせながら、新米指揮官が上位争いに導く。

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淡々とした口調ながら、樹森新監督は迷うことなく言った。

「新潟のスタイルが僕に合っている。他のクラブだったらオファーは受けていない。今の形をベースに、プラスアルファで自分の色を出していきたい」

水戸で来季の準備をしていた今月中頃だった。突然、新潟からオファーが届いた。「ビックリした。自分だけでなく周りも全員(笑い)」。プロの監督業は未経験。不安もあったというが、強化部の「新たな挑戦」に向けての強い思いが、新指揮官を突き動かした。「大きなチャレンジ。僕自身、頭は固くない方。選手とともに成長しながら結果(勝利)を求めていく」と決意する。

現役引退後、愛着のある水戸で12~22年にユース監督を務めた。育成畑での指導が長く「選手、チームを成長させることが一番のストロング」。もちろん育成年代とプロ選手の技術や思考、さらにJ1とJ2で違いはあると理解する。「積極的にコミュニケーションを取る。僕自身はJ1の強度やスピードに慣れる。変化して成長していくところは大切にしていきたい」と続けた。

水戸のトップチームコーチを務めた23、24年は主に攻撃面を担当。新潟を参考にした切り抜き動画で戦術を落とし込んだ。これからは自らが新潟の指揮官となり、選手たちとポゼッションスタイルに磨きをかける。攻撃の発進地点だったGK小島亨介(J1柏レイソル)と阿部航斗(来季J2ジュビロ磐田)がチームを抜け、後方からの攻撃構築は変更点となり得るが「小島選手と同様のレベルを求めることは難しい。そこはトレーニング、バランスを見ながら判断したいと思う」。

年明けから始まるキャンプでは<1>ハイプレスからのショートカウンター<2>攻守の切り替えの速さ<3>攻撃の立ち位置、高強度のアクションを主に求めていく。「開幕戦から勝ち点を奪い、いいキャンプが出来たといいたい」。新米指揮官の挑戦が、スタートする。【小林忠】

◆一問一答

-新潟のイメージ

「アルベル監督(20、21年)になってスタイルが(堅守速攻から)ガラッと変わって衝撃を受けた。S級ライセンス取得のための国内研修で新潟を選び練習を視察。よく参考にした」

-水戸コーチ時代、攻撃面はどんな部分を参考に

「爆弾ゲームではないが、ボール保持にこだわらないチームはパスをどんどん離すことが目的になる。新潟はプレッシャーの中でビビらず(パスを)受け、タイミングよくつなぐ。主にそういったマインドのところ。あとはゴールを奪うためにパスのサイズの変化などを意識させた」

-攻撃面でさらに向上させたい部分は

「相手を見ながら、というところ。パスの入り口はあるので、あとはバイタルの部分でどうアタックするか。(スイッチを入れるパスは)1個前のところ。タイミングを早く出来ればと思う」

-どんなサッカーを好む

「フィジカル的なサッカーを志向してこなかったので(相手の)逆を取るところが大好き。一番おもしろいのは最後の仕掛けだったり、創造性あるパス、ドリブルっていうところ。そういう部分をもう少し新潟で表現したい」

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【新潟】樹森大介新監督「他だったらオファー受けていない」ボールを愛するスタイル継承