【高校サッカー】帝京を支える安藤光大、大舘琉史朗、近江智哉の3人衆には監督認める献身性
選手権6度、総体3度の全国9冠を誇る名門・帝京(東京B)が15大会ぶりに第103回全国高校サッカー選手権大会に帰ってくる。28日の開幕戦(国立競技場)で京都橘と対戦する。
全国優勝が当たり前のような黄金期を築いたが、近年は選手権から遠ざかった。名古屋グランパスMF稲垣祥(33)らを擁した09年以来の大舞台。昨季まで指揮を執った日比威アドバイザー(順天堂大監督)の精力的なスカウト活動が実を結び、登録メンバーにはJリーグの下部組織出身者がずらりと並ぶ。U-18(18歳以下)日本代表DF田所莉旺やエースFW森田晃ら、タレントがそろう中で、今季就任した藤倉寛監督も認める献身性の高い3人衆がいる。
MF安藤光大、DF大舘琉史朗、MF近江智哉。三者三様の経歴、進路を歩むが、選手権に懸ける思いは同じ。ハードワークや玄人好みの気の利くプレーでチームを支えてきた。
FC東京U-15深川出身の安藤は、中学校の部活動で陸上部に所属し、二刀流でならした。3000メートルで8分台の記録を持つなど持久力はチームトップ。「今でも素走りならチームの中でも1番だと思います」と走力で貢献する。
中学時代は東京の下部組織に在籍したが、ユースには昇格ができなかった。当時練習試合をした帝京のサッカースタイルに魅了され、入学を決意。1、2年はなかなか試合に絡めなかったが、基礎を磨き続け、自分の代になってから試合に出られるようになった。「自分よりうまい選手はいっぱいいるんですけど、前線で体を張って走って、守備して、というところでは違いを見せられるかなと思います」と役割を認識している。
同じ東京の下部組織でUー15むさしから来た大館も同様に走力が武器のサイドバックだ。安藤と同じくユースには上がれず、高校サッカーに進路を切り替えた。チームの先輩たちが多くいたこともあり、帝京を選んだ。毎朝4時半起きで、朝練に行き、1対1の守備を徹底的にやりこんだ。並行して筋トレで体作りにも取り組み「スプリント量が増えましたし、フィジカルでも負けなくなりました」。
憧れは「古巣」の東京でプレーする日本代表DF長友佑都(38)。「自分は運動量が武器です。長友選手は小さい頃からみていて、タイプも似ていて、身長も高くないけどプロで活躍している」。そんな長友2世は、母親に影響で看護師を目指しており、サッカーは高校で引退する。最後にして最高の舞台。国立を駆ける準備はできている。
170センチと小柄な近江は中盤で帝京の心臓部を担う。中学時代はバディーJY横浜で技術を磨き、同じようなスタイルの同校でさらなる活躍を夢見た。ただ1、2年時は試合出場機会に恵まれなかった。タレントぞろいの中で、何を武器に試合に出るか。守備の重要性を再認識し、新チームになってから出番を得た。
「帝京は本当にうまい選手ばかりで、ボールを持っている時にアピールしても、なかなか目立たない。ボールを持ってない時だったり、守備での貢献は自分が出場できる鍵というか、そこで差をつけないといけないというのは思っていました」
持ち味の技術力に加え、いつしかセカンドボールの予測、回収に自信を持つように。気の利く選手としてチームに欠かせない存在となった。
3人とも国立での開幕戦を「楽しみ」と口をそろえる。目標は日本一。心待ちにする聖地で再び試合をするために、チーム一丸で勝ち進んでいく。【佐藤成】