【高校サッカー】日章学園FW高岡伶颯「半端ない」伝説を塗り替える 日本一&20得点/連載1
第103回全国高校サッカー選手権(28日開幕)の注目選手、チーム紹介を26日から3日間、連載する。第1回は、イングランド・プレミアリーグのサウサンプトン入りが内定している日章学園(宮崎)FW高岡伶颯主将(3年)の単独インタビュー。元日本代表の神戸FW大迫勇也(34)が持つ1大会の最多得点記録「10」超え…どころか、倍の20ゴールと日本一を目標に掲げた。有言実行を置き土産に、世界へ羽ばたく。29日の1回戦・西目(秋田)戦からエンジン全開だ。
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高岡が「半端ない」伝説を塗り替える。目指すは「日本一&20得点」だ。16年前の08年度に、計10発で記録を打ち立てた大迫を折り返し地点にしてしまう大目標だが「目指します」とキッパリ。その上で、フクアリで迎える初戦を控え「自信はある。仲間や自分を信じれば20点でも取れる」と驚異のラッシュを誓った。
J1の神戸、鹿島、横浜や浦和など6クラブが争奪戦を繰り広げた高校NO・1ストライカー。U-17日本代表には昨年3月に初招集され、いきなり同7月のアジア杯連覇に貢献した。U-17W杯インドネシア大会でも本領発揮。1次リーグのセネガル戦で2得点するなど3戦連発し、計4得点したことでサウサンプトンからオファーを受けた。
元日本代表DF吉田麻也らが在籍した同クラブの練習には、今年4月に参加。「通用した」というスピード、武器とするジャンプ力を磨き、課題だったデュエルも克服してきた。原啓太監督(43)が「(練習試合を含む)30試合で無得点だったのはプリンスリーグ九州の熊本ユース戦(5月)だけ」という決定力を身につけた。「20得点」を掲げた背景には根拠があった。
全国選手権の宮崎大会決勝でも、前人未到の3年連続「決勝ハットトリック」こそ逃したが、圧巻の3人抜きゴールなど2得点と暴れた。早生まれで17歳ながら、U-19代表に“飛び級”で招集されて今月中旬の合宿にも参加した逸材だ。
強みは「ジャンプとスピード。能力は認めてもらっている」というサウサンプトン評に加え、フィジカルも「コンタクトされても倒されず、どんな体勢からでもゴールを決め切るところ」。168センチながら、相手の185センチDFに空中戦で競り勝ったこともある。滞空時間が長いのも特長だ。
一方で中学時代は無名だった。高校1年の中頃、サイドハーフからFWに転向したことで、ドリブラーだった能力が開花した。陸上用ハードル跳び1日20本5セットや、自主練のシュート50本なども功を奏した。
進化は最後の選手権で示す。18歳の誕生日を迎える前後、来年3月中旬に渡英し、クラブ関係者宅にホームステイする予定だ。セカンドチームからのプロキャリアとなるが「点を取りまくって貢献し、トップでも活躍したい」と思い描く。
そのプレミアは、自身と5センチしか違わぬ173センチながら「一瞬のスピードで決め切る能力がある」と憧れる、元イングランド代表FWオーウェンが活躍した舞台だ。宮崎生まれの和製ワンダーボーイが、決勝まで6試合、高卒即海外の挑戦に弾みをつける20発を置き土産にする。【菊川光一】
◆高岡伶颯(たかおか・れんと)2007年(平19)3月12日、宮崎県都城市生まれ、三股町出身。小学校2年から三股SSSで蹴り始める。三股中-日章学園高。3年連続で全国選手権に出場。23年3月にU-17日本代表初選出。同年のU-17W杯インドネシア大会で16強入り貢献。今年はJ3宮崎の特別指定選手。50メートル走5秒8。お笑いコンビ、ぺこぱを愛する。利き足は右。168センチ、63キロ。