フアン・ソト(2024年10月撮影)

今オフFA市場最大の目玉だったフアン・ソト外野手(ヤンキースFA)が、メッツと15年総額7億6500万ドル(約1150億円)で契約しました。昨年12月にドジャースと10年総額7億ドル(約1050億円)で契約した大谷翔平投手を、わずか1年で超えたのには驚きました。

ドミニカ共和国出身、左打ちの外野手で、2018年ナショナルズで弱冠19歳でデビューしました。19年に不動の4番打者として活躍し、球団史上初の世界一に貢献。球界を代表する、若きスーパースターとして注目を浴びるようになりました。

22年7月、ナショナルズから受けた当時史上最高となる15年総額4億4000万ドル(約660億円)の契約延長オファーを拒否しました。そこで同年8月パドレスに放出され、昨年12月ヤンキースにトレード。今オフにFAとなり、メッツとプロスポーツ史上最高の大型契約に至りました。

最大の魅力は若さあふれるパワーに広角打法、それと抜群の選球眼にあります。20年にナ・リーグ史上最年少の21歳で首位打者に輝き、その年から5年連続でシルバースラッガー賞を受賞。あの“打撃の神様”で有名な「テッド・ウィリアムズの再来」と言われる逸材です。

その若き天才打者ソトと大谷は、同じ18年にメジャーでデビュー。ずっと異なるリーグだったため、交流戦しか対戦がありませんでした。その数少ない対戦の中で、昨年7月4日のパドレス戦に当時エンゼルスの大谷が先発登板。2番ソトを3打数無安打2奪三振と、完璧に抑えたことがあります。

2人の対戦で最も注目されたのは、21年オールスターゲーム前日のホームランダービーでしょう。日本人選手として初出場の大谷が、いきなり第1ラウンドでソトと対戦。再延長までもつれ込む接戦の末に惜敗しましたが、最後はソトと笑顔でハグを交わしました。

記憶に新しいのは、今年のワールドシリーズでの対戦です。実に43年ぶりとなる東西名門同士の対決で全米中が熱狂する中、第2戦でドジャース山本由伸投手が7回途中1安打1失点と好投。その中でソトが唯一のヒット、得点となるホームランを打ち、存在感を発揮しました。

来年から初めて、2大スーパースターが同じリーグで対戦することになりました。しかも、大都市ニューヨークとロサンゼルスを舞台に、メッツ対ドジャースという人気チーム同士の激突。日本人エースの千賀滉大、山本両投手もいて、新たな注目カードになりそうです。

また、来年こそ3冠王の期待がかかる大谷にとっては、強力なライバル出現となります。ソトは20年に打率3割5分1厘で首位打者に輝き、今年はア・リーグ3位の41本塁打、同4位タイの109打点をマーク。打撃タイトル争いに注目が集まります。

メジャーの長い歴史を振り返るならば、まるで元祖二刀流であり、伝説の本塁打王でもあるベーブ・ルースと、最後の4割打者テッド・ウィリアムズが対戦するような夢の顔合わせ。2人の「7億ドル対決」から目が離せません。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 大谷を1年で超えた!ヤンキースFAのソトがメッツと15年7億6500万ドル 来季同リーグ