なでしこジャパンの監督に就任したニルス・ニールセン(撮影・横山健太)

サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」で史上初の外国人監督となるニルス・ニールセン新監督(53)が18日、都内で就任会見に臨み、世界のトップに返り咲くことを誓った。デンマークやスイスの女子A代表監督を歴任したデンマーク人。欧州を代表する強豪マンチェスター・シティーのテクニカルダイレクターも務めた知見で、なでしこ再建に意欲を見せた。

   ◇   ◇   ◇

なでしこ史上初の外国人指揮官となるニールセン監督は笑顔を絶やさず、物腰の柔らかな好人物だった。佐々木則夫女子委員長が自信を持って招聘(しょうへい)した。「人間味がある素晴らしい方と出会えた」。国内外に広く選択肢を持った中、最も重要視したのが戦術でもタイトル数でもなく「人間性」だった。

佐々木委員長の言葉を借りれば日本人女性の特長とは「協調性の豊かさ」。マンチェスターCでは、なでしこの主力、MF長谷川唯と関わり日本人の特性を知る。「ユイが大好き。言葉が少ない中でもピッチ上で強い存在感を示す」。ニールセン監督もまた、人間性を何より大事にしている。

北極に近い厳寒のグリーンランドに生まれ、5歳まで過ごした。「閉ざされた氷の世界だった」。プロ選手を目指したが「背中、腰の大けが」で現役を引退。20歳で指導の道に進んだ。環境や苦境に嘆くことなく全力を尽くす。自然と主体的な生きざまが身に付いた。

再建への大事なファクターは「勇気」と言い切る。「勝つために必要なのはそれを達成したい強い気持ち。取りに行くんだという気持ち、勇気が必要」と力説した。なでしこの花は再び咲くのか-。「世界のトップに返り咲くことを目指しているし、それは可能」。柔らかな笑顔の中に強い信念が見えた。【佐藤隆志】

◆ニルス・ニールセン 1971年(昭46)11月3日、デンマーク自治領グリーンランド生まれ。20歳で背中を負傷し、選手を断念し、指導者の道へ進む。オーデンセU-17男子監督でキャリアをスタートさせると、コペンハーゲン、ブレンビーなどの下部組織で指導経験を積んだ。13年にデンマーク女子代表監督に就任し、17年に欧州女子選手権で準優勝。18~22年までスイス女子代表監督としてW杯オーストラリア、ニュージーランド大会出場権獲得。23~24年マンチェスター・シティー女子テクニカルダイレクターを務める。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【なでしこ】ニールセン新監督「勝つために必要なのは強い気持ち」再建へ必要な「勇気」力説