9月、選手たちを鼓舞する新潟松橋監督

アルビレックス新潟の松橋力蔵監督(56)が退任の意志を固めたことが、12日に分かった。来季は、既に正式オファーを受けているFC東京を指揮することが有力視される。

新潟も続投を要請したが、新天地での挑戦を選択した。監督就任3年目の今季。リーグ戦は最終節で残留を決めるなど苦しんだが、ルヴァン杯ではクラブを史上初めて決勝に導いた。後任候補は、クラブOBの上野優作氏(51)ら数人に絞られた。

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松橋監督が、新潟を去る決断をした。監督就任3年目の今季も選手たちとつくり上げたパスサッカーで見る者を魅了。決勝まで勝ち進んだルヴァン杯でクラブに初タイトルをもたらすことは出来なかったが、ファンの記憶に残る好ゲームを展開した。リーグ戦は16位と振るわなかったが、ケガ人が相次いだ4~6月の連戦も選手起用をうまくやりくりして乗り切った。

新潟は10月に続投オファーを出すも「(松橋監督から)J1残留を決めるまで、まずは目の前の一戦に集中したい」との返答を受け、交渉をストップ。今月8日の今季最終戦後、中野幸夫社長(69)が「続投に向け、引き続き交渉を進める」と席を設けたが、松橋監督は新天地でJ1優勝を目指す決断をした。

古巣の横浜F・マリノスから21年、当時J2だった新潟のコーチに就任。22年に監督に昇格すると、いきなりJ2優勝、J1昇格に導いた。プロの監督業2年目で挑んだ昨季はJ1で10位。今季は終盤9試合で勝ちなしと苦しんだが、最終節で自力残留を決めた。

アルベル前監督(56)が20年からの2年間で浸透させたポゼッションのベースの上に、より速く相手ゴールに到達する縦へのスピードをプラス。メンバーはアマチュアクラブからはい上がって来た苦労人や、J3、J2を主戦場として来た選手がほとんどだったが、個々の特徴を引き出し、融合させるチームマネジメントで魅力ある独自スタイルをつくり上げた。

選手育成にも定評があり、指揮した3年間でA代表経験のあるMF伊藤涼太郎(26=シントトロイデン)、今夏パリ五輪代表のMF三戸舜介(22=スパルタ)、現浦和レッズMF本間至恩(24=元クラブ・ブルージュ)が海を渡った。

新潟は監督人事で出遅れ、急ピッチで来季編成を行う。次期指揮官にはクラブOBの上野氏らが候補に挙がっている。

◆松橋力蔵(まつはし・りきぞう)1968年(昭43)8月22日生まれ、東京都出身。千葉・市原緑高-日産自動車-横浜-京都-ジヤトコ。02、03年ジヤトココーチ、04~20年は横浜でユースのコーチ・監督、トップチームのヘッドコーチを歴任。21年1月に新潟のコーチに就任。15年S級ライセンス取得。Jリーグ通算44試合出場3得点。JFL通算79試合出場15得点。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【新潟】松橋力蔵監督が退任 後任候補はクラブOBの上野優作氏らに絞られる