札幌の監督就任会見をする岩政監督(撮影・黒川智章)

コンサドーレ札幌は12日、元日本代表DF岩政大樹氏(42)が監督に就任すると発表した。同氏が会見でテーマに掲げたのが「継承と前進」。攻撃的サッカーを根付かせたペトロビッチ監督(67)からバトンを受け、来季9年ぶりJ2に降格するクラブのJ1復帰と初のタイトルを目標に、チームを率いる。

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新たな札幌のスタート。マイクを持った岩政新監督は、期待感に満ちた、にこやかな表情で1つ1つの質問に答えた。「僕が常日頃から大好きだったコンサドーレ札幌に監督として来ることができてうれしく思い、興奮している。ミシャ(ペトロビッチ監督)の後という非常に大役。自分にとってこれ以上ないチャレンジ」と就任への喜びを口にした。

強調したフレーズは「継承と前進」だった。前任のペトロビッチ監督が掲げる攻撃的サッカーには以前から着目していた。クラブ最長7年を率いた指揮官の後任として、「ミスを恐れない攻撃的マインド。他のクラブを見渡してもそんなにない。ぜひとも継承したい」。その上で「僕は誰かのまねをするのは嫌い」とオリジナリティーも出していく。

現役時代は鹿島の主力CBとして活躍し、リーグ戦3連覇や天皇杯とナビスコ杯合わせて7度の優勝に輝いた。日本代表も経験。鹿島、ベトナム1部ハノイで監督キャリアを積み、「プログレッシブ(前進)」と表現するスタイルを確立しつつあり、手応えもある。来季はJ2からの再出発となるが、「当然J1昇格というのはあるが、天皇杯やルヴァン杯はカテゴリーは関係ないので、タイトルを取るチャンスがある。コンサドーレもタイトルというところまでぜひ持っていきたい」と、クラブ初の日本一を目標に掲げた。

今季19位と低迷したが戦力に不安はない。「札幌は有能な選手を抱えている」と力を信じる。来季のチーム編成は不透明だが、1月に顔を合わせる選手たちへ「北海道コンサドーレ札幌のために戦いたい、このクラブを救いたいという思いがある選手たちと仕事がしたい。ついて来て欲しい」と呼びかけた。【保坂果那】

以下、岩政新監督の一問一答。

-就任経緯は

今年ハノイで指揮を執っていて、良い内容と結果(1部リーグ3位、カップ戦準優勝)を得られた。次にどういうチャレンジをするか考えていた時、ハノイでやっていたサッカーに似ている哲学、戦術のチームでやりたいと思っていた。ご縁あってコンサドーレの方とお会いすることができてこういう話をもらった。

-来季チーム編成について

僕の仕事はピッチ上で行うこと。選手たちと一緒にチームを作ること。ほとんど補強に口出しすることはない。選手それぞれの個をいかして、グループで同じようなサッカーできれば、十分に活躍できる、結果出せる選手がそろっている。位置によって人数のバランスを整えたいというリクエストはしている。それによって競争させたい。

-北海道、札幌のイメージ

一体感がある街、クラブという印象。それがないと攻撃的なサッカーは作りきれない。批判の声ばかり増えれば、やりきれない。やりきれているのは北海道という土地柄がそうさせているし、クラブが哲学を大事にして覚悟を持ってやり遂げてきた。

-札幌は練習全公開だが

もうフルオープンですよ。サポーターのみなさんにも来ていただいて。これからの変化もそうだし、選手たちがきっと楽しいものを作り上げていく。それをぜひ楽しみにしていただきたい。

◆岩政大樹(いわまさ・だいき)1982年(昭57)1月30日、山口県周防大島町生まれ。岩国高、東京学芸大をへて04年鹿島入りし、7個のタイトルを獲得。J1通算290試合35得点。ポジションはDF。日本代表として国際Aマッチ8試合出場。10年W杯南アフリカ大会メンバー入り。14年タイ1部テロ・サーサナ、15年からJ2岡山、17年から関東1部東京ユナイテッドにコーチ兼任で所属し、18年に現役引退。22年途中から鹿島の監督に就任しJ1・4位、23年は5位で同年限りで退任した。24年はベトナム1部ハノイ監督。今年8月末から母校の東京学芸大のコーチを務める。家族は妻と長女。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【札幌】「継承と前進」岩政大樹新監督「ミシャの後という大役。これ以上ないチャレンジ」/一問一答