川崎F対福岡 後半、途中交代で下がる川崎F小林(後方)は鬼木監督と抱き合う(撮影・宮地輝)

<明治安田J1:川崎F3-1福岡>◇第38節◇8日◇U等々力

川崎フロンターレが今季限りで退任する鬼木達監督(50)のラストマッチでアビスパ福岡に3-1で勝利し、8位でフィニッシュした。

鬼木監督と長くクラブの黄金期を支えたFW小林悠(37)が7月6日のジュビロ磐田戦以来約5カ月ぶりのリーグ戦先発でゴールを決めた。

1-0の前半27分、MF山本悠樹(27)のシュートを相手GKが弾いたところにいち早く反応して得点を奪った。一目散にベンチにいる恩師の元へ走った。

「もう試合前から決めていたことで、絶対今日自分が決めたらオニさんところに走るっていう風に、もうそのイメージトレーニングだけして試合に入りました。ゴールしたらなんでも良かったし、ただオニさんと絶対喜び合うって決めてたので、イメージって大事だなと(笑い)」

17年の鬼木監督就任と同時に主将を任された。コーチ時代から含めて深い絆がある。その指揮官のラストマッチでキャプテンマークを託された。4日のアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)山東戦で先発したため、自身のスタメンは予想外だったという。その期待に見事応えた。「だからこそなんとしても決めたかったし、決めなかったら一生後悔するって試合前に自分に言い聞かせてピッチ入りましたし、ああいうゴールでしたけど、本当に良かったなと思います」とかみしめた。

試合後のロッカールームで、鬼木監督の話を聞いていると涙が抑えられなくなった。「もうおえつするぐらい泣いてましたね。アキくん(家長)も『ユウ、泣くな。お前これ以上泣いたらつられるからもう泣くな』といわれるくらいもう本当にもう無理でしたね」。特別な感情がこみ上げた。

鬼木達を、監督として、人として尊敬している。「謙虚ですし、周りの人の感謝も忘れないし、後悔しない選択を常にしている。本当に自分の子どもたちとかにも見習ってほしいような人間というか。誰もがああなれたら世の中が平和なのになとちょっと思いますが、それぐらい本当に人として大好きですね」と思いがあふれた。

そんな恩師と来季は別チームで対戦する可能性もあるが、得点奪取を宣言した。「いやもう絶対決めますよ。オニさんの前でガッツポーズしてやろうって思う。絶対思っています。笑いますかね、怒りますかね、オニさん(笑い)。想像するとどうなんだろう。いやでも絶対やってやろうと思います」。そう笑った。【佐藤成】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【川崎F】小林悠「決めなかったら一生後悔」恩師にゴール捧げ「おえつするくらい」涙止まらず