日本学園・古川遼(2024年7月撮影)

ソフトバンクが今ドラフトで育成1位指名した古川遼投手(18=日本学園)が3日、入団辞退を表明した。この日、同校の硬式野球部長名で「あくまでも本人の心境、心情の変化による進路変更」とし、今後は大学進学を目指すことを表明した。ソフトバンク永井智浩編成育成本部長兼スカウト部長(49)は「残念ですが仕方ない。本人の意志がそういうことであれば」と厳しい表情で話したが、大学進学後も古川の調査を続けていく方針だ。

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古川は190センチの長身から最速144キロの直球を投げ込む本格派右腕。ソフトバンクは将来性を高く評価し、育成1位で指名した。ドラフト直後に球団から配布されたスカウト評には「角度ある直球とコントロールが最大の武器。ダルビッシュ二世を目指す」とあった。

11月上旬には福岡・筑後市のファーム施設を見学するなど入団に向けたメディカルチェックも行っていた。だが、支配下指名がなかった悔しさや今後への不安から心境が変化したようで「(筑後に来たときに)そういう(入団辞退の)思いが出てきたと聞いていたので、環境がそろっているのでぜひ(入団を)という話をしていた」と永井本部長は残念そうに振り返った。

球団には11月16日に入団辞退の連絡があった。約2週間後の正式表明に、永井本部長は「学校側がどういう対応で(入団辞退を)出されるかに合わせて対応した」と話した。

入団辞退の正式発表はこの日、日本学園の硬式野球部部長名でマスコミ各社に通達。辞退理由は球団に対する不満などではなく「あくまでも、本人の心境・心情の変化による進路変更」とし、今は大学進学への準備をしているという。球団でドラフト指名選手の入団辞退はダイエー時代の91年に4位指名した足寄高・三井浩二投手(後に社会人を経て西武入り)以来、33年ぶり。89年1位指名の上宮・元木大介内野手が巨人入りを希望して入団拒否。ハワイ留学で「浪人」し、翌90年1位で巨人入りしたこともある。

ソフトバンクとなって初の入団辞退だが、球団は大学進学後も古川の調査を継続するという。「(入団して)芽が出たら中心になってくれる選手と期待していたが、素材がいいので引き続き(大学卒業の)4年後に」と永井編成部長は次の縁を期待した。ソフトバンクは今ドラフトで支配下6人、育成13人を指名。球界初の4軍制を敷き、大量の新人選手獲得を目指しているが、1軍へのハードルは高い。初の入団辞退はその「育成」環境を考えさせられることにもなった。

◆古川遼(ふるかわ・りょう)2006年(平18)5月6日生まれ、東京都江戸川区出身。小3から大雲寺スターズで野球を始め、中学時代は江戸川東シニアでプレー。日本学園では春夏通じて甲子園出場なし。憧れの選手はパドレスのダルビッシュ有。190センチ、80キロ。右投げ右打ち。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【ソフトバンク】育成1位の古川遼、初の入団辞退 1軍へハードル高い4軍制「育成」環境に不安