2月、春季キャンプで佐藤輝(左)に守備指導をする鳥谷臨時コーチ

日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(43)が2日、阪神佐藤輝明内野手(25)に守備面の金言を送った。テレビ大阪の年末特番の収録に参加して取材対応。今季両リーグワーストの23失策を記録した佐藤輝はジャンピングスローなど、上半身の強さでカバーしたプレーも目立った。同じ三塁でゴールデングラブ賞も受賞している名手は、守備力向上に下半身主導も必要と分析。疲労度に応じた複数パターンの守備習得が、失策王返上につながると力を込めた。

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守備の名手と称された鳥谷氏には、人知れない工夫があった。現役時代は歴代2位の1939試合連続出場。鼻骨を骨折し、フェースガードを付けて出場した日もあった。疲労やケガと向き合いながら遊撃と三塁でゴールデングラブ賞を5度獲得。今季両リーグワーストの23失策と苦しんだ佐藤輝に対し、特に大切にしていた極意を明かした。

「シーズンは長いので。2パターン、3パターンを持った状態でいけると、エラーの質も変わってくる」

今季の佐藤輝はジャンピングスローなど上半身に頼るプレーも目立った。体の強さと器用さがあるからこそできる技だが、1年を戦う中では疲労がたまる時期も出てくる。失策王返上には「守備の複数パターン」を持っておくことが重要な対策になると実体験を交えて説明。上半身主導だけでなく下半身主導も必要で、状況に応じてアレンジすることが必要と力を込めた。

「足が当然痛い時もあれば、肩が痛い時も、肘が痛い時も、背中が痛い時も、いろんな時がある。状態が悪い時は足を使ってカバーしていく、というのが現状はできていない。今までにプラスアルファで下半身を使えると、より楽に良いプレーができる。足が使えるようになれば、それがバッティングにも生きてくる。下半身に違和感ある時は、もともと持っている上半身の力をうまく使えばいい」

自身もプロ13年目の16年9月から三塁に挑戦。17年は138試合守り、ゴールデングラブ賞を獲得した。攻守で下半身を意識し、打率も前年の2割3分6厘から2割9分3厘へV字回復。30歳代後半でも進化した三塁の先輩から見て、背番号8はまだまだ伸びしろたっぷりと確信している。

佐藤輝は直近2年連続で2軍降格を経験するなど、1年間フル出場できたのは22年だけ。鳥谷氏は5年目の来季はフルで戦い続け、攻守とも最高の結果で引っ張る姿を求めた。

「チームで一番いい成績を出せば信頼になり、頼りになる存在になる。まずは自分の成績を求めて。1年間フルで出て信頼される選手になる第1歩になれば」

このオフや春季キャンプの取り組み次第で、ゴールデングラブ賞も夢ではない。足元から地盤を固めたその先に、一皮むけた姿が待っている。【波部俊之介】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】鳥谷敬氏が金言!佐藤輝明に守備「複数パターン」のススメ「より楽に良いプレーできる」