【明治神宮大会】青学大、大学4冠に王手 スタメン出場の初谷健心がサヨナラ打「気持ちは明日」
<明治神宮大会:青学大-天理大>◇大学の部準決勝◇24日◇神宮
青学大(東都大学)が天理大(関西5連盟第1代表)を延長10回タイブレークで破り、2年連続で決勝進出。大学4冠へ王手をかけた。
4-4で迎えた10回1死満塁。初谷健心内野手(3年=関東第一)は初球のカーブをファウルにすると、ベンチから安藤寧則監督(47)が出てきて声をかけた。「落ち着いてくれるぅ~(笑い)」。サヨナラの好機。手が震えていた。安藤監督の優しい言葉に初谷は「我に返って、落ち着けました」。2球目の121キロのスライダーを振り抜くと打球は投手の横を抜け、中前適時打でサヨナラを決めた。「あぁ良かった…まだ4年生と(野球が)できる」。喜びよりも、ホッとした。
重圧を背負っての試合だった。22日の準々決勝(福岡大戦)で主将の佐々木泰内野手(4年=県岐阜商)が左肩を負傷した。21日夜、佐々木に代わって三塁でのスタメン出場が決まると、佐々木から「俺のグローブを使うか?」と声をかけられた。「慣れていないので断ったんですが、思いを託してくれているんだ、と気持ちは伝わりました」。主将の代わりに試合に出場する覚悟を決めた。
試合前の円陣では佐々木からの指名で声出しを担当。「全員そろっていない状態だけど、そこを楽しみにかえて。期待をいい意味で裏切ろう! 勝ったら絶対に気持ちがいい。青学のユニホームを着ている以上は負けられない。そこはプライド持って全員で戦おう」。「全員戦力」を呼びかけた。試合途中からは3年生以下の選手だけが並んだが、ベンチからは、佐々木をはじめ、西川史礁外野手(4年=龍谷大平安)ら、4年生の声援を背に、思いを引き継ぎ戦った。何としても勝って、4年生が目指した「大学4冠」を達成したい。思いはひとつだった。
昨年、あと1歩で達成できなかった大学4冠まであと1勝。「実際に勝ったら、(喜びよりも)明日だな~って(笑い)。もう明日を見据えています」と、気持ちを引き締め、最後に「勝ちたいです!」と思いを込めた。【保坂淑子】