初出場の広島商が決勝進出 大宗和響184球熱投に荒谷監督「厳しい場面を経験させたかった」
<明治神宮大会:広島商11-9敦賀気比(延長11回タイブレーク)>◇高校の部準決勝◇23日◇神宮
創部126年目で初出場の広島商(中国)が、敦賀気比(北信越・福井)との延長11回の壮絶な戦いを制して決勝進出を果たした。
先発の最速140キロ右腕、大宗和響(かずき)投手(2年)が10回184球の大熱投で勝利を呼び込んだ。東洋大姫路(近畿・兵庫)は横浜(関東・神奈川)に競り負けて初の決勝進出を逃した。大学の部は環太平洋大(中国・四国3連盟)が早大(東京6大学)にサヨナラ勝ち。3試合ともタイブレークとなる熱戦だった。
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広島商のエース大宗の184球の大熱投が、勝利によって報われた。今大会初先発で、野球人生最多投球数で10回を投げきった。「ちょっと疲れがドッときて、今まで感じたことのないような疲労感でした」。11回はベンチで戦況を見守り、勝利すると両手を突き上げてほえた。「勝った瞬間は(疲れが)全部抜けました」と笑った。
幾度のサヨナラ負け危機を乗り越えた。7回まで5点差をつけるも、8、9回と味方守備のミスも重なり一気に同点に追いつかれた。延長タイブレークの10回は3点勝ち越すも再び追いつかれたが「気持ちだけで投げてました」と粘り腰でチームに勝機を呼び込み続けた。荒谷忠勝監督(48)は「背番号1をつけている分、ああいう厳しい場面を経験させたかった」と大宗続投の意図を明かした。
25日の決勝では秋の関東王者・横浜との対戦が決まった。指揮官は「素晴らしいチーム。(優勝の)チャンスですので、貪欲にいきたい」と力を込めた。夏の甲子園で6度目の優勝を飾った1988年(昭63)から遠ざかる全国の頂点へ、伝統の「HIROSHO」のユニホームを着たナインたちが挑む。【古財稜明】
▼初出場の広島商が決勝進出。広島商は甲子園で春1度、夏6度の優勝があり、国民スポーツ大会(旧国体)でも2度優勝。春夏甲子園、国スポ、神宮大会の全国4大会を制覇すれば、21年の大阪桐蔭以来となる。決勝は横浜との古豪対決。横浜とは73年センバツ決勝で対戦し、佃正樹-達川光男のバッテリーで9回を無得点に抑えるも横浜のエース永川英植を攻略できず、0-0で延長戦に入り11回1-3で敗れている。